神奈川県内最大の公募美術展「神奈川県美術展」の入賞作品が発表され、市内在住の井手元咲良さん(22)が平面立体部門で、小野坂葉子さん(24)が工芸部門でそれぞれ大賞を受賞した。
神奈川美術展は今年で57回目。平面立体、工芸、書、写真の4部門に全国から753人1084作品の応募があった。
日本庭園の可能性探る
平面立体の部門で大賞を受賞した井手元さんは2019年にも同展の入選経験を持つ。今回2度目の出品で大賞に輝き「凄く嬉しかった」とはにかんだ。
作品は昨夏、友人と観光で訪れた鎌倉・報国寺の日本庭園で感じた「いつまでも居たくなる心地よさ」をキャンバスに描いた。実際の風景が持つ自然の生き生きした様子と自身の内面を融合させ、独特の色使いで表現した。
井手元さんはこの4月から女子美術大学の大学院に進学するのに合わせ相模大野に移り住んだ。将来は画家として功成り名を遂げたいという夢を持つ。この作品で「表現する可能性を持っている」と感じたという日本庭園。今夏は京都に日本庭園巡りを計画しており、さらにモチーフにした作品を描いていきたいと抱負を語った。
素材選びから表現方法模索
工芸部門で大賞に輝いたのは昨年から緑区に住み多摩美術大学大学院に通う小野坂さん。織物に写真を転写した作品で大賞に輝いた。同展への出品は初めてで「まさかと思った。凄く驚いたが、とても嬉しかった」と声を弾ませた。
ファッションに興味を持っていた小野坂さんは大学で染色の面白さに気づき、織や染、洋服などを使ったテキスタイルデザインを専攻した。今回の作品は「見る」をテーマに、何でもない日常の風景でも「今」は一瞬で、更新していく唯一無二の体験であるということの気づきや驚きを表現したという。作品に使用した織物は糸選びから染め、織、転写する写真の撮影まで全て一人で手がけた。
将来、テキスタイルアーティストとして制作活動を続けたいと語る小野坂さん。「テキスタイルの素材の面白さや不思議さが伝われば」と話した。
県民ホールで
入賞作品の展覧会は平面立体が9月7日(水)から18日(日)まで、工芸・書・写真が21日(水)から10月2日(日)まで神奈川県民ホールギャラリーで開催される。午前10時から午後6時(各最終日は2時)。
問合せは県民ホールギャラリー【電話】045・662・5901。
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