障害理解を促すプロジェクトの発起人で、市内外で「bookmark」と銘打った催しを企画する 井上 真吾さん 中央区在住 39歳
「問い続けること」が答え
○…福祉に関わりを持つ有志と共に、映画上映などを通じて障害への理解を促進するプロジェクトを立ち上げ、「bookmark」と名付けた催しを地元の藤野で開催したのが今から4年前。上映後の監督とのトークセッションで、障害について率直に意見を交わし、晴れやかな表情で会場を後にする参加者たちの姿が忘れられず、「いつかまた」と温めてきた企画を5月に再び催す。
○…山梨県でカフェ併設型生活介護事業所「logue」(ローグ)を運営する。障害者や自閉症の人が日中を過ごす場だが一般の施設とは一線を画す。カフェには健常者も訪れて交わる。「障害という枠組みの中で障害者ができる選択肢をお膳立てするのではなく、人との関わりの中で足りない部分を互いに補い合える場になれば。一人一人のストーリーがそこから始まるように」と願う。一方で、相模原市社会福祉協議会の職員として福祉教育を担当。障害者による講演を企画するなど小中学生に福祉を考える機会も提供する。
○…原点は2歳下の弟。自閉症で言葉をうまく操れなかったり落ち着きがなかったりと、自身にとっては日常的なことだった弟の振る舞いが小学校では周りに理解されず揶揄された。「障害とは?普通とは?」。学生時代も心のどこかで「答え」を探し続けてきた。大学卒業後、選んだのはやはり福祉の道だった。
○…就職先の施設で重症心身障害者を介助する中、一人一人と向き合い相手が何を望んでいるのかを考えることの大切さを知った。「答えなんてない。大事なのは答えを探すことではなく、障害について考え問い続けることだ」。考える人が増えれば障害のあるなしの境界線は次第に溶け合っていくはずと、労を惜しまぬ啓発活動は続く。
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