区内在住でパラリンアーティストの大橋美沙さんの絵画作品を展示する移動式MISA美術館(MISA展)が、市内の小中学校を巡回している。11月7日から11日までは根小屋小で開催され、佐藤玲子校長は「子どもたちは絵を見て息を飲むような感動を得ているようだった。いつも以上に感想を述べる子が多く、生の絵の力を感じた」と話す。
MISA展は、美沙さんの小学校時代の恩師で津久井中央小の神原由香里校長が中心となり企画した。神原校長は「この絵を見て『みんな違って、みんないい』『このままでいいんだよ』というメッセージに救われる子どもがたくさんいると思う」と開催への思いを話す。
美沙さんは、知的発達に遅れはないものの、読み書きや計算などの習得と使用に困難を示す学習障害があり、中学校は支援級、高校は通信制に通った。横浜美術大学に進学すると本格的に絵を描き始め、これまでに多くの作品を残してきた。
今年3月の卒業にあたり、大学で保管していた作品をお世話になった人たちに寄贈しようとしていたところ神原校長に話があったという。神原校長は、「彼女の作品はバラバラで飾ったらもったいない。セットで見てもらうことで彼女の歴史や成長をより感じることができる」と作品を一括で引き受け、絵画展の構想を膨らませていった。
作品を保護するために段ボールの額縁、自立式の支柱、運搬に関わる費用をクラウドファンディングで募り、約140万円の支援を得た。その後、MISA展を開催したい学校を募り、今年の10月に南区の若草中で開催。続いて根小屋小で開催した。
「やさしい感じ」
根小屋小では、体育館に大小20点の絵を展示し鑑賞会を実施。絵を鑑賞した児童からは「泣いてしまいそうになった」「自分の感じていることをすべて描いているところがすごい」「苦しい気持ち、明るい気持ちが見えて気に入った」「きれいですごく温かくてやさしい感じ」などといった感想があがった。
最終日の11日には、開催のお礼を言いたいと母の美穂さんが同校を訪れた。秋の地域イベントで集まっていた約40人の保護者を前に30分ほど講演。美穂さんは「美沙は苦しいことも含めて学校を楽しんでいた。どちらもあったおかげでこの絵が描けたのだと思う」と話した。
千木良小で開催中
現在、MISA展は12月8日(金)まで千木良小で開催中。一般にも開放している。絵画展について美沙さんは「描いている時はとても楽しかった。この絵を見て感動してもらえたらうれしい」と話す。神原校長は「彼女の絵に触れて、自分はこのままでいいんだと勇気や元気をもらったり、頑張ろうと思う子どもが増えたらうれしい。この絵に救われる子どもがたくさんいると信じて多くの人に見てもらいたい」と話した。
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