病院経営が厳しい中、上手な医療へのかかり方を--。市内の医療関係者らと市長が対話する「相模原市医療懇話会」が10月31日、市役所で開かれた。集まった医療関係者らは、医師の働き方を背景とした病院経営の厳しい現実を訴える一方で、行政による市民への適正受診の啓発と病院経営への支援などを求めた。
医療関係者として出席したのは、一般社団法人相模原市医師会の細田稔会長や公益社団法人相模原市病院協会の土屋敦会長、学校法人北里研究所北里大学病院の山岡邦宏病院長のほか、両会の役員・職員ら。相模原市からは本村賢太郎市長のほか、副市長や関連部署の担当者らが出席した。
物価高騰や診療報酬の改定、補助金の減額・廃止、医師の働き方改革による人件費の増大を背景に病院経営の悪化は全国的な問題となっている。
「これまでの医療は医師の長時間労働によって支えられてきた。医師の健康が確保されてこそ、医療の質と安全が確保される」
そう話したのは『医師の働き方改革と上手な医療へのかかり方〜人口70万人都市唯一の大学病院としての課題と提案』をテーマに発表した北里大学病院の山岡病院長。相模原市には市民病院がないため、同大学病院が中核病院としての機能を果たしている。
山岡病院長は、相模原市と人口規模が近い政令市の岡山市と熊本市のデータを挙げ、この2市に比べて相模原市は病院数も病床数も少ない実情を訴えた。
「診療を行っている医師は同時に教育と研究を行い、教育と研究が大きなウエイトを占めている。医者の働き方改革で長時間働いてはいけないといわれている中でまた裂き状態で働いている」と現状を打ち明けた。
「医師が足りない」現状に理解を
「市民の皆様に医療にどうかかるべきなのかを行政から伝えていただき、理解を深めてもらうことに取り組んでほしい。我々は三次救急を見直していくという段階に入っている。医師が足りない現状を理解してほしい」と求めた上で、相模原市に対して同大学病院内にサテライト施設を設置することや市民への啓発の推進、補助金の新設を要望した。
医師会の細田会長は「医療を取り巻く環境は非常に厳しい。市の関係団体と調整を図る場を持ちたいと要望し、2回開催して大変有意義な意見交換ができた。厳しい状況ではあるが、地域の医療団体が手を携えて地域の医療を守っていきたい」と話した。
土屋会長は「医療機関は非常に厳しい状況。市民に協力をいただくことが重要。市から呼びかけてほしい」と求めた。
こうした多くの要望に対して、本村賢太郎市長は「解決策を生み出していかなくてはならない。貴重な意見を聞くことができた。しっかりと議論をして皆さんのご意見に沿えるよういい形で取り組みたい」などと答えた。
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