相模原市は中山間地域(津久井、相模湖、藤野地区)の在宅医療の充実、医師の負担軽減などを目的とした車両を用いた訪問型オンライン診療の実証事業の結果を11月27日に公表した。患者の86%が訪問型オンライン診療は在宅医療の充実に必要とアンケートで回答した。一方で、通信環境の整備など今後に向けた課題が浮き彫りになった。
今回の実証事業は、6月10日から7月22日のうち23日間実施。慢性的な疾患で市所管の診療所に通院しており、医師が実施可能と判断し事前に合意を得た42人が対象。看護師が情報通信機器を持って車両で患者宅を訪問し、患者と診療所の医師がウェブ会議システムでつながり、看護師が補助をしながら診療を実施した。車内での診療を基本に、状況に応じて患者宅内で実施。車内は31人、患者宅内は11人だった。
今回の事業のねらいは3つ-【1】オンライン診療ができる環境の確認と体制の構築、【2】オンライン診療に対する医療従事者と患者双方の理解促進、【3】事業を実施して把握できる課題の確認と改善策の検討-。実証事業に参加した患者は、一連の流れについて90%が「満足・ほぼ満足」と回答。医師は70%、看護師は71%が同様に回答した。患者の負担軽減について効果があったと答えたのは患者が76%、医師が83%、看護師が64%だった。
一方で、通信ができない、不安定な場所がある、車両の乗り降りがしにくいなどの意見が挙がったほか、実際に車両に乗って診療を補助する看護師の負担が大きいというような声もあった。薬の受け渡しに関しては、オンライン診療後に改めて診療所に処方箋を受け取りに行き、院外薬局で薬を受け取る患者もいた。
今回の実証事業の結果を受けて市医療政策課地域医療対策室の担当者は、「オンライン診療を初めて実施してみて体制や診療の一連の流れについて、一定の手応えがあったと考える。一方で初めての実施ということで、今後につながる課題も抽出できた。今後は浮き彫りになった課題の解消に向けて取り組んでいきたい」と話した。
市では、今回の検証結果を踏まえ、来年度以降は新たなねらいを定め、期間を今回よりも延長して実証事業を実施していくという。
今回の実証事業の結果、検証内容については、公文書館、各区の行政資料コーナー、各図書館などで閲覧できるほか、市ホームページの「中山間地域における車両を用いた訪問型オンライン診療の実証事業」(https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/kenko/1026630/iryo/1030662.html)のページから見ることができる。
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