本紙では前号の本村賢太郎市長につづき、昨年就任した椎橋薫区長にも新春インタビューを行った。昨年の振り返り、今年の抱負などについて話を聞いた。
――昨年の緑区を振り返ってどんな1年でしたか。
「改めてコロナ禍を経て緑区全体が動き出してにぎやかに、そして従前に戻ったような1年であったと思います。いろいろな方から地域のイベントなどにお誘いをいただき、皆さまと接する限りではコロナ禍で大変だったという事がうそのようで、以前からこうだったと思えるくらい地域ににぎわいが戻ったことを感じられた1年でした」
――昨年4月に区長に就任して、どのようなことが印象に残っていますか。
「あっという間でしたが、さまざまなことを地域の皆さまに教えていただきました。特に各地域のお祭りでは、若い世代の方々が伝統を受け継いでいるという印象を持ちました。例えば、お囃子をするにしても、日頃から集まって小さなお子さんから高齢の方までが一緒に練習を重ねて本番を迎えている様子が伺えました。さらに、進学や就職で実家から引っ越した大学生や20代の若い世代の方々が、お祭りに合わせて帰ってきて一緒にお囃子に参加しているのを見ると、このようなお祭りが年に1回決まった日に行われる、ということには意味があり、それがお祭りの良さであると実感しました」
「区長になり初めての場所への訪問や経験をさせていただきましたが、印象深いのは地域の皆さまの『自分の住んでいる地域が大好きだ』という強い思いを感じられたことです」
――今年緑区は区制15周年を迎えます。どのような15周年にしたいとお考えですか。
「緑区は今年の4月1日に満15歳を迎えます。まずは地域や団体、関係者の皆さまと改めてこの15年間を振り返る年にしたいと考えています。城山、津久井、相模湖、藤野の旧町について、『津久井郡って何?』という疑問があるかもしれません。これまでの歴史があって今がある、ということを忘れずに、緑区の良さを再認識した上で、15周年をきっかけに区民意識の醸成を図っていければと考えています」
――具体的に決まっている事業などはありますか。
「まず、昨年皆さまに投票していただいた区制15周年のオリジナルロゴマークを2月に発表します。緑区を紹介するウェブサイト『すもうよ緑区』では、デジタルスタンプラリーを今年も実施します。さらに、コロナ禍で開催できずにいた郷土芸能フェスタをこの15周年を機に復活させる予定です。フェスタでは緑区内の村芝居や歌舞伎、お囃子などの伝統芸能を披露します。また、小学生による1日区長の企画なども検討しています」
「その他、地域の各団体とさらに連携を深めていきます。その一つですが、『15』といえばラグビーですよね。そこで、日頃から連携しているラグビーチームの三菱重工相模原ダイナボアーズさんにいろいろと相談をしているところです。ダイナボアーズは橋本駅前の清掃を定期的に行っており、緑区とはつながりがとても深いチームです」
「市内の商業施設や商店街では区制15周年セールを考えているところもあるようです。各種イベントでも『15周年記念』という冠を付けて盛り上げていただければと思います。区民が主体的に盛り上げる15周年になればうれしいです」
椎橋区長インタビューまちづくり、観光振興に期待
――橋本駅周辺のまちづくりの現状と今後について教えてください。
「昨年、リニア中央新幹線の新駅の工事現場でさがみはらリニアフェスタが開催され、訪れた多くの方々に工事の進捗を見ていただきました。早期完成を願っていますが、完成までにはまだ時間が掛かるため、JR東海と協力してイベント等ができるように市として検討していきたいと考えています」
「今年はまちづくりをどのように進めていくのかが大きなテーマになります。駅周辺はマンションなどの住宅建設が進み、住民がこれから増えていくという楽しみな一面がある一方で、ただ住宅が増え、人が増えるだけではいけないと思います。また、橋本の発展による緑区内各地区への波及効果にも期待しています」
――中山間地域の課題についてはどうお考えですか。
「中山間地域の交通については引き続きどのような交通が地域に必要なのか、地域の皆さまと相談しながら検討していく時期に差し掛かっていると思います。城山の若葉台地区で実証実験を行っているグリーンスローモビリティーは他地区に展開できる可能性があります。実際に地域の皆さまがやりがいを持って運営されているようで、住民主体の取組となっています。昨年は区民会議のメンバーで視察をさせていただき、良い取組を共有することができました。いろいろな地域に広がっていくことを期待しています」
「中山間地域を抱える緑区には魅力的なコンテンツが多数ありますが、今後『観光』を大きなテーマとして、各地域の主体的な取組を行政がサポートできるような体制づくりが求められると考えています。区内に出掛けると、いまだに知らない魅力的なコンテンツがたくさんあることに気付かされます。そういうモノやコトをさまざまな人と人とのつながりの中で支援し、盛り上げていくことが中山間地域を振興する上で欠かせないと考えています」
――今年、期待する取組について教えてください。
「まず、相模湖地区にある小原の取組です。小原の郷(さと)は展示を主体とした施設ですが、2026年度中のオープンを目指してリニューアルする予定です。リニューアルにより物販や飲食をできるようにして、地域の方の憩いの場、訪れる人との交流の場となるようにしたいと考えています。小原宿本陣とともに、まち並みを生かしながら新たな観光拠点として盛り上げていきます」
「ジビエについては実現可能性を見極めるため、今年は調査に取り組む1年となります。食用に適するシカやイノシシの捕獲手法の検討、加工所の設置主体や設置場所、事業として成り立つのかなどを調査する予定です。ジビエには『害獣』とされてきた野生動物が地域資源となる可能性があるため、命を扱うということ、『感謝していただく』ということも大切にしつつ、調査していきたいと考えています」
「昨年9月に山梨県上野原市で行われた桂川フェスティバルに参加しました。今回の目玉の一つとして相模湖の遊覧船『くじら丸』が桂川をさかのぼって上野原市に向かいました。上野原市では、もっと往来が盛んになることを希望しているとのことなので、関係各所と協力し、市境、県境を越えた新たな連携の取組が進むと良いと考えています」
――最後に区民へメッセージをお願いします。
「区民の皆さまが『住んでいて良かった』『住み続けたい』と思えるようなまちづくりを進めていきたいと思います。そして、今年は皆で一緒に区制15周年を楽しく盛り上げていきましょう」
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