JR相模原駅北口に広がる相模総合補給廠にこの程、国内3つの部隊を統率する米陸軍のミサイル防衛部隊の新司令部が設置された。同司令部は今後、米領グアムに配備されている迎撃ミサイルシステム「THAAD(サード)」を指揮下に置く方針も示しており、住宅地に隣接する補給廠に国内外の防衛拠点が駐留することとなる。2014年に補給廠の一部返還が実現し、返還地の活用が進む中で基地の機能強化とも受け止められる事態に、地元からはより多くの情報開示を求める声などが上がった。
在日米陸軍司令部の広報によると、設置されたのは第38防空砲兵旅団司令部。地対空誘導弾「PAC3」が配備される沖縄県の嘉手納基地の部隊、弾道ミサイルの早期発見レーダー「Xバンドレーダー」を管理する青森県の車力通信所、京都府の経ヶ岬通信所の3つの部隊を束ね、部隊を指揮、支援することが任務とされる。これまで3部隊はハワイの司令部が指揮していたが、「日米の連携を高め、防空能力を高めること」を目的に日米間で新司令部の設置が決定。在日米陸軍司令部が置かれるキャンプ座間は手狭なため、駐留場所に補給廠が選ばれた。
新司令部は115人からなり、10月16日以降に段階的に配備を開始。補給廠にはこれまで約90人規模の第35戦闘維持支援大隊が駐留していたが、既にキャンプ座間に移駐したため、同広報は「補給廠に駐留する人員自体に大きな変動はない」と説明。新たな装備を導入することもないとした。
31日に行われた編成式では、ビエット・ルオン司令官が将来的には北朝鮮の脅威に備えグアムに配備された迎撃ミサイルシステム「THAAD」を指揮下に置くことも明言。日米のミサイル防衛の心臓部が相模原に構えられることとなる。
市「事前相談なく遺憾」
市渉外課によると、新司令部の設置について在日米軍から市へ連絡がきたのは9月28日。10月1日には在日米陸軍基地管理本部司令官・フィリップ・K.ゲージ大佐が加山俊夫市長のもとを訪れ、駐留について説明。加山市長は口頭で新司令部の任務や運用などについて今後も可能な限り情報提供することなどを求めた。4日には加山市長に代わり下仲宏卓副市長が防衛省、外務省を訪れ「事前相談もなく決定事項を突然知ることになったのは甚だ遺憾だ」と両大臣に対し抗議し、基地の恒常化阻止などを要請した。
地元の小山地区自治会連合会の会長を務め、市米軍基地返還促進等市民協議会の理事でもある石井今朝太さん(80)は「補給廠の全面返還をめざし、一部返還地を活用した南北道路などが開通するなど返還が実感された中での出来事」と、突然の知らせを振り返る。そして「地元向けに説明会もあったので理解している部分もあるが、わからない部分も多い。より多くの情報を開示してほしい」と不安な思いも明かした。
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