2度目の緊急事態宣言発令から2カ月余り。その間も病院ではコロナ患者を受け入れ、医療従事者はウイルスと向き合い続けている。相模原市内にある35病院が加盟する公益社団法人相模原市病院協会の土屋敦会長に、市内の病院のコロナ禍の様子や協会からのメッセージなどを聞いた。
--市内の病院の現状をお聞かせください。
「同じ政令市の横浜や川崎に比べると本市は大きな医療危機には至っていませんが、感染者が減少している割には入院を要する人がそれほど減っておらず、病院の負担は大きいです。ただ、(1月に)県が(コロナ患者を受け入れていない病院に対し)院内で陽性患者が発生した場合は当該病院で対応するようメッセージを出してから、一つひとつの病院が受け入れる体制を少しずつ整えてきたため、だいぶ変わってきました。やはり第3波が引き金となって医療崩壊一歩手前まできたために、診療体制を変えてでもやっていこうという機運が生まれたのだと思います。一方、通常診療を犠牲にしなければならないため運営は厳しく、職員に対するいろいろな手当てもしなければならない。一つひとつの病院にとって、コロナを受け入れる代償はやはり大きいです」
--コロナ以外の診療は減っているのですか。
「受診控えもありますし、第3波のピーク時には手術や検査をやむなく延期、中止することはどの病院もある程度ありました。コロナを受け入れるには病床も作り人も配置しなければならない。そうするとどうしても通常の受け入れ体制はとれない。各病院ともバランスを取りながらというのが現実だと思います」
--病院協会として申し合わせなどは。
「陰性化した方で介護が必要な方には、施設に戻っていただいたり療養型病院に協力してもらい入院していただく。その流れをスムーズにしようと。ただ、いまだに市民の方にはコロナ患者だった人に対して少し抵抗感があるように感じます。そこはやはり、皆がコロナになる可能性があるということを理解し、感染した人に対して偏見をなくそうといったアピールを、強く国や自治体にしていただきたいなと常々思っています」
--県看護協会相模原支部の後援、市との共催で、潜在看護師の就職相談会や研修会を実施していらっしゃいます。
「看護師は退職して時間が経つと技術を保つのが難しく、再就職のハードルが高くなってしまう。それは社会にとってもったいないことですので、なるべく技術を維持して地域に貢献していただけるようにと取り組んでいます。この2月にも相談会を行いましたが、実施を決断したのは、この状況下でこの事業が必要だという観点からです。一人でも多くの人に協力していただきたい、地域に埋もれた人材を掘り起こしたい。今回のコロナ禍やワクチン接種、災害発生時の救護所など、いざというときに何か自分にできることはないかということを考えていただければ、地域にとって非常に助かります。コロナ禍に関わらず慢性的に人材は不足しています」
--市民へメッセージをお願いします。
「インフルエンザが少なくなっています。これは日ごろの感染防止がいかに大事かということ。コロナ禍に限らず、以前と同じ様式に戻らないで今後も常に考えて行動することが大事です。そのためには情報発信が大切。行政が衛生情報を出しながら、市民がそれに応える。非常事態だからやるというのではなく、市民が自発的に衛生状況を判断し、公衆衛生を維持するために行動するようお願いしたい。そのような習慣は継続したほうがいいと思います。いろいろな情報を得ながら、一人ひとりに気を付けていただければと思います。また、医療関係者は使命感を持ってコロナと向き合いながら、(それぞれの)生活を抱えています。応援メッセージをいただくのはありがたいことですがその一方で風評などにより医療従事者が生活しづらくなってしまうようなことは避けていただくよう、ご配慮いただきたいと思います」
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