津久井地域で伐採された木材の普及を目指す「さがみはら津久井産材利用拡大協議会」(会長/佐藤治男津久井郡森林組合代表理事組合長)は、市から委託を受け、津久井産材を周知する「チラシ」「カタログ」「ロゴ」を作成した。同協議会は「市内の森林維持のため、林業の振興が不可欠。津久井産材の認知度をあげ、もっと普及させていきたい」と期待する。
市内には約1万9000ヘクタールの森林があり、多くは津久井地域にある。その森林のほとんどが、植樹から50年以上が経ち、今が伐採適齢期。しかし、山林地域という地形による理由などから、搬出コストが高くなり、伐採や生産は公的な補助金に頼る部分が多く、林業として成り立っていないのが現状だ。
同協議会は、2010年度に市が策定した「さがみはら森林ビジョン」の中で目指している津久井産材の普及拡大とともに、市の林業の振興に寄与することを目的に、15年8月に発足された組織。林業関係17事業者と神奈川県森林保護課などのオブザーバーで構成されている。これまで、17年から運用する「さがみはら津久井産材産地証明制度」をはじめ、市民桜まつりでのパネル展示、相模大野にあった伊勢丹(現在は閉店)でのマルシェ出店など、幅広い活動を行い、津久井産材のブランド向上を図ってきた。
こうした活動に加え、市は市内の公共施設や家屋に津久井産材を使用した場合に普及啓発に関わる事業補助金を助成する。これまで津久井産材の使用には、さがみ湖リゾートプレジャーフォレスト(バーベキューエリアの受付棟の一部や屋外ウッドデッキに使用)、清新公民館(中央区)、相模湖駅などのほか、ここ数年で年間15棟程度の家屋の建築実績が報告されている。
津久井産材の認知度と普及を向上させるための更なる一手として同協議会は、「チラシ」「カタログ」「ロゴ」を制作した。チラシは、ユニークなデザインで、津久井産材の歴史や地元産材を薦めるメリット、津久井地域の森林情報・未来などが掲載されている。公民館や図書館などで配布するほか、市ホームページで閲覧できる。カタログは大きくリニューアル。手に取りやすいA5サイズで、椅子や机、置き物など津久井産材で製作された木製品が掲載されている。各種イベントで配布するほか、市のホームページで閲覧できる。「ロゴマーク」は「多様な生物が活き活きと暮らす豊かな森。そこに住む微生物のような、妖精のような子」のイメージで作られている。
同協議会によると「海上運賃の急騰などにより、外国産材が高騰して品不足となっている。そのため、国産材の需要が高まり、国産材が値上げ傾向となっているが、まだ国産材は外国産財と比べると安い」というのが現状だ。19年度は約4000㎥の津久井産材が生産されている。市は地産地消や森林保全の観点からも、津久井産材のブランド力を向上させたい意向。津久井産材の、どれくらいの搬出、生産があると利益が出るのかは、現時点では不明だが「20年、21年の結果を見て、持続可能な森林・林業の実現に向けた体制の構築と取組の方針の策定に向けて、取り組んでいきたい」と同協議会は話した。
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