約190年続く相模原市の伝統行事「相模の大凧まつり」が5月4日(土)と5日(日)、相模川新磯地区(南区)の河川敷の4会場で開催される。今年の題字は「稀風」。市制70周年の古希を祝った大凧が一斉に舞い上がる。
「題字を書き終えるといよいよだと感じるね」と話すのは、下磯部大凧保存会の会長を務める荒井慎一さん。同会の役員たちは3月30日、相模の大凧センター(南区新戸)で題字を書き終えた和紙の最終確認を行った。
同会が揚げる大凧のサイズは6間(10・9m四方)。縦約1・4m、横約5・5mに貼り合わせた和紙を16枚作る。
役員たちはその和紙を1枚1枚広げて、糊の剥がれがないかを入念にチェック。わずかな剥がれから風の抵抗により、和紙が破れることがあるためだ。荒井さんは「どれだけ念入りに慎重に作業しても天気次第。風があり過ぎてもだめ、なさ過ぎてもだめ」と話す。
相模の大凧まつりは新戸・上磯部・下磯部・勝坂の4地域の各保存会が大凧を制作し、相模川河川敷で大凧を揚げる。
大凧は試し揚げができず「本番ぶっつけ」。保管場所を確保する難しさや技術の継承を理由に、どの保存会も毎年一から大凧を制作している。
骨組みとなる竹の切り出しから紙貼り、題字書き、糸目付など制作期間は半年ほどかかる。
荒井さんは「伝統文化を守るという思いや半纏を着る誇りかな」と情熱を注ぐ理由を語る。「でもやっぱり、ぶわっと揚がったときの感動があるから」と言葉を付け加える。
「唯一無二を見て」
最も大きい凧は新戸保存会の8間(14・5m四方)、重さ約950kg。人員は80人から100人、風速は10から12m必要だという。4つの保存会で構成される相模の大凧保存会の八木亨会長は「市制施行70周年の節目。相模原で生まれた唯一無二の祭りと自負している。子どもの健やかな成長を祈って多くの方に見てほしい」と語る。
新戸(新戸スポーツ広場)、勝坂(同)、下磯部(磯部頭首工下流)、上磯部(三段の滝下広場)の4会場。午前10時から午後4時まで。駐車場はあるが公共交通機関の利用を呼び掛けている。
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