味や品質には遜色がないものの形や傷などにより廃棄されることも多い「B級」の野菜。青野原のトマト農家ナカヤマファームがこのほど、廃棄されてしまうトマトを活用した6次産業化商品「ナカヤマファーム トマト100%ジュース」を開発、今年6月から農畜産物直売所あぐりんずつくいほかで本格的に販売を開始した。
同農園の代表・中山英樹さん(45)は就農7年目。もともとは東京でエンジニアとして働いていたが、違う「モノづくり」がしたいと、会社勤めを辞めて農業の道へ。2年間の研修を経て2018年、新規就農者として青野原でトマト栽培を中心に野菜作りを始めた。未経験で始めた農作。研修でさまざま学んだが、「出来も収穫量も1年目は散々だった」と振り返る。2年目以降は試行錯誤しながらも少しずつ収穫量が増え、野菜直売所などへ納められるように。今は、年間20トンの出荷量を目標に作業を行い、昨年は14トンまで収穫が伸びた。
収穫増が廃棄増に
年々着実に収穫量が増えていったが、同時に「B級」と呼ばれるトマトも増えた。近隣の商店や食堂に「訳あり品」として納めてもさばき切れず、「育てたトマトを捨てることがとても辛かった」と中山さん。一昨年から、農業生産者が加工、販売までを手掛ける「6次産業化」を視野に入れ構想を練り始めた。
中山さんは以前から気になっていた、平塚市の食品加工場「しんわルネッサンス」(社会福祉法人進和学園運営)へ見学も兼ねて相談することに。すると、工場にトマトを持ち込めば少量でもジュースかピューレとして加工できると聞き、即、ジュースの製造を依頼することに決めた。
昨年8月、初めてのジュース180ミリリットル・250本が完成。中山さんが味見をしてみると「濃厚だけど喉越しが良くて飲みやすく、美味しいと感じた」と話す。約半分をJA神奈川つくいが買い取り、店頭で「トマトアイス」として販売すると、好評のうちに完売したという。昨夏は2回製造、試験的に直売所などで販売した。
今季からは新しく1リットルサイズと、ミカンジュースをラインナップに加えた。ミカンは妻の実家(南足柄市)で長年大切に育てられてきたものだという。6月から本格的に販売を開始し、「贈答用などの需要があれば」と期待を寄せる。
地域農業活性化の一助に
製品化するにあたり、保存環境の整備や運搬費用を考えると収益はほぼなく「正直言えば土に戻した方が楽」な状況。それでも「廃棄はもったいないし、ジュースを飲んだ後の皆の喜ぶ顔を見るとうれしくて」と今後も製造を続けていくつもりだ。「流れはできたと思う。この取り組みが地域農業活性化の一助にもなれば」と前を向いた。
商品は180ミリリットル・350円、1リットル・1500円(ともに税込)。問い合わせは同園【電話】️050・7107・3104。
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