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熊野本宮大社の世界遺産登録20周年記念奉納上演で小栗判官を演じる 國府田(こおだ) 達也さん 相模原市在住 52歳

公開:2024年8月1日

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國府田(こおだ) 達也さん

「語り部」として俳優道を貫く

 ○…相模原に古くから伝わる『照手姫伝説』。3度目の小栗役に「深い縁を感じた」と感慨深げだ。初めて演じたのは20年前。経験も浅く自分の道を模索していた頃だった。「新しい『古典』という分野を開拓したい」。その思いから、演出家の笠井賢一氏のもとで3カ月間24時間体制で指導を受けた。「2、3年分に値するほど充実した濃密な時間だった」と振り返る。そしてその経験は自らの礎となった。今回も笠井氏が演出を務める。「『小栗役は君しか考えられない』と言われたら即決しますよね」。大きな自信を胸に、聖地熊野の大舞台に立つ。

 ○…舞台芸術を一から学ぼうと地元の高校から桐朋学園大演劇学科へ。「入ったら演劇に興味が湧いて」と在学中に俳優を志す。卒業後、文学座養成所や元コンセルバトワール講師によるワークショップなどを経て菅原文太に弟子入り。「最後の弟子」として3年半修行した後、独立した。現在は俳優として映画や舞台に出演するだけでなく、ナレーションなど声優としても活躍する。

 ○…休日には妻や友人とカヌーやキャンプに繰り出す。自然が大好きで「いつかヨットで洋上生活」も夢の一つ。ベンガル語の歌手としての一面も持ち「バングラデシュでは、タツヤ〜って握手を求められたり、ちょっとした有名人」と笑う。危険レベルが下がったら「両国の架け橋となれるよう活動を再開したい」

 ○…「自分には芸の上で二人の父がいる。一人は師匠の菅原文太、もう一人は演出家の笠井さん」と真剣な表情。「現代人は情操性が薄れている」と憂い、「二人から学び感じた力、心を投影するような物語の力を後世に引き継がなければ。その語り部として今後の俳優生命をかけたい」。曇りない眼で語った。

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