町田市は1月30日、大規模災害時において、避難生活が長期化した場合の避難者のプライバシー確保を充実させるため、避難施設用「簡易間仕切りシステムの供給に関する協定」をNPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワークと締結した。長期間に及ぶ避難施設内での生活環境の向上を図る。
大規模な災害が発生した際、重大な課題となる避難所でのプライバシーの確保。多くの人が避難所で雑魚寝を強いられ、十分な休息を取ることができず、体調を崩す原因にもなっている。そこで同ネットワークは紙管をフレームとして用い、布を簡単に掛けただけの間仕切りを開発した。基本的なユニットは2m×2mで囲まれた空間。紙管の梁を連結することで、グリッド状にいくらでも拡張することができ、家族の人数等によって区画の大きさを変えることが可能。また開閉可能な布を使用することで、温度調節ができ、通気性も確保できるものとなっている。組み立ても分解も容易で、今後、市の職員に対してレクチャーしていくという。
昨年8月、市職員が水害被災地である岡山県倉敷市に応援に行った際、同市真備町の小学校でこの間仕切りシステムが設置されているのを確認。報告を受けた市は同年11月、同ネットワークに協定を要請した。市は災害時・訓練時において同システムの供給を要請し、同ネットワークは連携する地元の紙管業者を通じて、使用場所まで速やかに運搬する。
同ネットワークの代表理事を務める坂(ばん)茂(しげる)氏は、世界で活躍する著名な建築家。1995年の阪神・淡路大震災後、神戸で建築面での被災地支援のためにこのボランティア組織を立ち上げ、以来国内外の被災地支援の活動を行っている。2014年には、建築物とともに社会的貢献が評価され建築のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞した。着実に活躍の場を広げ、これまで5府県、5市、8区と災害時協定を結び、災害時に速やかに提供。2016年の熊本地震では約2千ユニットが設置された。坂氏は「やっとゆっくり寝られたと喜ばれる。各地に広げていきたい」と話す。
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