12年に一度の寅年に薬師如来が開扉される「武相寅歳薬師如来霊場」が4月9日から町田市と横浜市、大和市の25カ寺で開かれ、秘仏の本尊が5月8日(日)まで一般公開される。市内では東光寺(小野路町)、安全寺(大蔵町)、野津田薬師堂(野津田町)、祥雲寺(高ヶ坂)、常楽寺(南町田)、福壽院(つくし野)の6カ寺が礼所となっている。
「お薬師様」として古くから信仰
病の苦しみを人々から取り除く「病気平癒の仏」として古くから信仰されている薬師如来。国宝弥勒菩薩像で有名な京都の広隆寺が薬師如来像を安置したのが1014年(長和3)、寅年の寅の日だったことから「寅年薬師」として開扉されるようになったといわれている。全国各地に霊場があり、12年に一度の開扉に合わせて各地の礼所を巡礼し、そのご利益にあやかる風習が残っている。25カ寺の武相寅歳薬師如来霊場でも4月初旬から約1カ月間、専用納経帳(朱印帳)や掛軸が用意され、満願(すべての霊場を回ること)を目指す巡礼者は多いという。各霊場には番号が振られているが、順番に巡る必要はない。
市内の礼所の一つ、薬師池公園内にある野津田薬師堂は「野津田のお薬師様」と慕われ、中央に薬師如来像が祀られている。本尊は秘仏のため、普段は代わりとなる御前立が据え置かれる。本尊の両脇には日光菩薩と月光菩薩が、さらにその両側に6体ずつの十二神将が安置されている。薬師堂を管理する華厳院(野津田町)の矢田弘雅副住職は「寺の巻物によると、本尊の薬師如来様は天平年間に行基様によって彫られたものであると記され、古来より眼病にご利益のある仏様として信仰されてきました」と話す。市の学術調査の結果、構造や技法などから平安後期(11世紀)頃の作と推定され、町田市内最古の木造仏として1987年に市の有形文化財に指定された。
開扉初日の朝に同薬師堂で掛軸を入手した市内金井在住の脇山幸之さん(68)は、御朱印の準備を待つ間に他の霊場をバイクで回り、午後に薬師堂を再訪。6個目の御朱印を押印してもらい満足な様子だった。御陵や古墳の多い大阪府藤井寺市の生まれで、仏像や寺院に造詣が深いという脇山さんは「元々掛軸や絵馬を集めるのが趣味。横浜市内で働いていたこともあるので、他の礼所の場所もある程度分かるし、探しながら回るのも楽しい」と話し、「休みの日を使ってすべての礼所を回りたい」と意気込んでいた。
自由民権資料館では企画展も
野津田町の市立自由民権資料館では同期間中に企画展「野津田薬師堂と武相寅歳薬師」を開催。史料や写真を展示し、周辺地域の人々の生活や信仰に深くかかわってきた野津田薬師堂の歴史と薬師如来御開扉について紹介している。学芸員の小林凪さんは「史料から、お堂の再建時や仏像を修復時に本尊を開帳してきた歴史が分かります。また再建のために募った寄付金の明細書があり、遠方からの援助があったことなども分かって面白い」と説明。入場無料。開館時間は午前9時〜午後4時30分。月曜休館。問合せは同館【電話】042・734・4508へ。
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