鶴川に住む由井(よしい)友二(ともじ)さん(99)=人物風土記で紹介=がこのほど、自身の体験談をまとめた著書「語り残しておきたい苦しかったシベリヤ抑留の思い出『百歳を前にして今思うこと』」を上梓した。
今年の9月9日に100歳になる由井さん。自分の記憶がしっかりしているうちに戦争の記憶を書き残しておきたいと、これまで書き溜めていた20ページにわたる手書きの体験記や、所属していた部隊の戦友が作った部隊誌に寄稿した資料を次男の裕一さんに託し、このほど裕一さんが編集した。終戦後、ソビエト連邦(ソ連)によってシベリアの収容所、現在のウクライナ共和国にある収容所に収容させられ3年間の抑留生活を経て、日本に帰還した由井さんの生々しい記録である。
シベリア抑留とは、第二次世界大戦後、武装解除され投降した約60万の日本軍捕虜や民間人が労働力としてソ連に連行されたもので、酷寒の地の劣悪な環境下の強制収容所で約6万人の死者を出した。1945年8月15日、満州国で関東軍に入隊していた由井さんは、南朝鮮での駐留時に終戦を知る。翌々日の17日から北朝鮮で日本人難民の保護にあたっていたところにソ連軍が進駐。捕虜となり北朝鮮平壌の収容所に入れられた。それから騙されるように列車に乗らされシベリアへ。過酷な重労働、満足な食事も与えられず、劣悪な環境による病気との闘い、死んでいった戦友のことなど生々しい抑留生活が記されている。「シベリヤ抑留については学校で習わない。このまま忘れ去られていくのだろうか。戦争にいいことは何もない。そういうことを伝えられれば」と由井さん。著書はインターネットのアマゾンで1628円で購入できる。
書き残した分を託し
復員した銀行員時代の後輩で、今でも付き合いのある籔本隆さん(92)のもとに由井さんから13枚の便箋にびっしりと書かれた手記が届いた。自身が住む地域の郷土史などの制作を行ってきた籔本さん。「形にせよということか」と、その手紙を編集。続編を作り「先輩の思い」を広めている。
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