パリ(フランス)パラリンピック開催までおよそ1年となるなか、2016年に行われたブラジル・リオデジャネイロパラ五輪の自転車競技で銀メダルを獲得し、町田市民栄誉彰を受けた鹿沼由理恵さん(42)が新たな道を歩み出している。「障害者が特別扱いされずにスポーツに取り組める環境づくりに貢献していきたい」と力を込める。
町田市で育った鹿沼さんは生まれつきの弱視で、就職した一般企業でスキー競技に出会い、10年にバンクーバー(カナダ)で開かれたパラ冬季五輪にクロスカントリースキーで出場して以来、パラアスリートとして活動してきた。
バンクーバーで好成績を収め、その後は怪我の影響もあり、2人乗りの自転車競技(タンデム)に転向すると、リオで銀メダルを獲得。「今度はトライアスロンで」と20年に予定されていた東京パラ五輪に向け準備を進めたが、目とは別の病気により左腕を切断することに。2つの障害がある場合、パラ五輪への出場が認められず、以降は競技の第一線を離れ、障害者スポーツの環境改善に向け、自分なりに貢献できる道を模索してきたという。
「障害者スポーツは現状、特別扱いされて成り立っている状況にある。障害者が主体となってスポーツやレクリエーションなどを開くことのできる環境を生み出していきたい」と鹿沼さん。町田でそのための団体を立ち上げたいと話す。
走って啓発も
鹿沼さんが新たな道を模索するなか、取り組むのが走ること。市民ランナーとして、各地で開かれているロードレースやフルマラソン、時には100キロのレースなどにも出場し、弱視、隻腕という逆境を物ともせず、ゴールを目指す日々を送っている。
現在は左足の靱帯を痛め、治療中だが、「11月に出場したいレースがある。何とか間に合わせたい」と鹿沼さん。マラソン大会では障害者として「特別な扱い」を求めず、健常者らと共に肩を並べてそれぞれの目標に向かって走ることができるところがその魅力の1つと話す。
鹿沼さんは「私がマラソン大会に出場することで、障害者が特別扱いされない環境づくりの一助になればという思いもある」と笑顔で話し、「障害者には一歩前に出て、いろいろチャレンジしてもらいたい。可能性はたくさんある。そんなことも広く伝えていければ」
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