宮司の徒然 其の142町田天満宮 宮司 池田泉
反省と楽しみ
今年は秋口に楽しみがある。それは私の情けないおごりで生まれた楽しみだ。
其の134で、国内のモクセイが雄株しかないから種ができないと定説を語ったところ、読者さんからお手紙をいただいた。「庭にあるモクセイの大木には毎年種ができます」と。私はすぐにでも見に行きたかったが、花も種もない時期に行くよりも、まずその木の花を愛でて、種ができる頃にも行きたいと考えた。だから今年は晩夏から秋にかけての時期が待ち遠しい。優しい読者さんは写真も送ってくださったから疑う余地もない。定説に甘んじてはいけない。流されてはいけない。言うなれば覆すものなのかもしれない。大いに反省した。
それにしても、いつ頃雌株は来日したのだろう。鳥の仕業だとしたら調べようもない。もともといなかった動植物が日本に入るのは、ほとんど人間が関わっている。食用に持ち込んだブラックバスやヌートリア。最近では、コンテナにセアカゴケグモやヒアリ。その点、モクセイの雌株なら大歓迎だ。雄株たちも開花して花粉を作る意味があるというものだ。人間が香りを楽しんだり、石鹼や芳香剤の材料にされるのは、モクセイにとっては想定外。自慢の香りに誘われた虫たちがやってきて、蜜を吸うついでに花粉をまとい、雌株の花へと運んでくれたなら、まさに大願成就。
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宮司の徒然 其の142町田天満宮 宮司 池田泉5月16日 |
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