地域の基幹病院の1つになっている多摩市の日本医科大学多摩永山病院の移転計画が中止となった。協議を続けてきた多摩市が公表したもので、新しく建設予定だった病院の費用高騰などが原因。同病院は現在の場所で診療を続けていくとしている。
京王・小田急永山駅に近い日医大が市に要望書を提出したのは2008年。病棟が老朽化したことから、新病棟の移転建設を目的に、近くの小学校跡地を活用する計画だった。
その後、同病院はより駅に近い場所での建設を求め、UR都市機構が保有する旧多摩ニュータウン事業本部用地を要望し、多摩市はURとの間で土地交換に向けた協議を開始。多摩市議会に財産の交換に関する議案を上程するなどして、両者の間で土地交換契約が成立した。
しかし、20年に新型コロナウイルスの感染が拡大し、同病院の経営状況が悪化、移転計画は暗礁に乗り上げた。同病院は26年度中に病院工事着手を目標に掲げていたが、この間に建築資材の高騰などで20年には約154億円だった建設費が23年12月には約280億円にまで膨れ上がった。
今年3月に同病院が移転・建替えの検討終了を旨とする文書を多摩市側に提出し、移転計画は中止になったという。阿部裕行・多摩市長は「十数年にわたり建替えに向けた協議を積み重ねてきたことを考えると痛恨の極み」などとコメント。多摩市は建設費約280億円の半額の財政支援、年間の運営費の一部の支援などを求められていたが、巨額の財政支援は一自治体の能力を超える負担だとしている。
同病院は救命救急センターを有し、重篤患者などを365日24時間体制で受け入れる三次救急の役割を担っている。移転予定地にあった旧多摩ニュータウン事業本部はすでに解体されており、多摩市は活用に向けてこれから検討に入るという。
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