子どもたちが自然の中で、自分の責任で自由に遊び、「体験」を通じ成長できる場所「冒険遊び場」。その一つで芹ヶ谷公園(原町田)に常設されている「せりぼう」が今月、活動を開始して10周年を迎える。運営する「NPO法人子ども広場あそべこどもたち」の代表の大野浩子さんは「子どもたちが土や虫と親しみ、たくましく育つ場所になっている」と話す。
せりぼうはできる限り規制を無くした「自然の中の遊び場」。ケガや失敗をすることも成長のひとつとして捉えられ、子ども達の自主性を尊重している。開園日は毎週水曜日〜日曜日の、午前10時から午後5時30分まで(10月以降は4時30分まで)。
4間4万人
成瀬にある「たぬき山」での同様の活動が前身。地域で子どもが自由に遊べる場所が少なくなった感じたと大野さんらが、1997年にはじめた取り組みだった。
その後、2014年に現在の場所に移転。何もない林だったが、スタッフらの力で切り開き、水道を通し、焚き火ができるようにも整備された。現在、敷地内には大きなハンモックのような大型遊具などが並んでいる。さらに子どもの自由を応援するため、公園以外でも「ぽっぽ町田」の一部を借し切ってイベントをするなど、活動の幅を広げている。
開設した年の利用者数はおよそ半年間で約1万6千人。コロナ禍では遠出ができないことから需要が増え、年間約4万7千人に。今でも約4万人が訪れている。大野さんは「屋外なので、毎日違う景色になることが子どもたちの五感を成長させることに役立っていると思う。土や虫と親しみ、たくましく育っている」とほほ笑む。
「ケガから学ぶ」
駐在しているスタッフは見守りに徹することが特徴。例えば、敷地内には傾斜もあるため、子どもたちが転んでしまう可能性もあるが、あえてそこで遊ぶことを止めない。スタッフの一人は「小さなけがをすることで、受け身を覚え、大きなけがをしにくくなる。そういった生きる力が身につく場所」と話す。実際にこの場所を利用していた男性は、「高いところに登ろうとして滑り、大きな擦り傷ができたこともある。背が伸びて登れるようになったとき、成長を感じた」と振り返る。また、幼児を連れて良く来るという母親は「敷居がなく、みんなが肯定されている感覚なる。子どもがハイハイの頃から、ここで遊ばせていた」。
今後の課題は「 持続可能な運営」という。若い世代に運営を引き継いでいくためにも、「働く場としても魅力を高め、次世代の運営者を育てたいと考えている」と大野さんは話す。
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