多摩市役所職員の市毛富士雄さんがこのほど、山岳地帯を走るスカイランニングで年間チャンピオンに輝き、日本一の栄冠を獲得した。市毛さんは来年開催予定のアジア選手権の日本代表になる可能性が高い。
スカイランニングは急勾配の山を駆け上がる、または下がるタイムを競うスポーツ。距離別などさまざまな種目がある中、市毛さんが出場したスカイ種目は最小距離20キロメートル以上、累積標高差1200メートル以上を走るレースで、高いレベルの選手が参加する花形種目だ。
連勝で決める
市毛さんは、(一社)日本スカイランニング協会が主催する、ジャパンシリーズに今年、初めて挑戦した。大会は年間5戦あり、レースの順位ごとに与えられるポイントの高い3戦の合計で年間の順位が決まる。
夏にけがをして予定していたレースに出られないアクシデントもあったが、10月13日の「烏帽子スカイラン・スカイレース」で優勝。11月3日に新潟県魚沼市で開かれた最終戦も制し連勝し、年間王者に輝いた。市毛さんは「日本一を目標にしていたので、ゴールテープを切った瞬間はとても気持ちよかった」と喜びを表す。しかし、「世界で戦っている格上の選手もいるので、練習を重ねて強い選手になりたい」と表情を引き締める。
市毛さんは10月に滋賀県大津市のびわ湖バレイで行われた全日本選手権でも優勝している。この大会を制することで、2年ごとに繰り返し開かれているアジア選手権、世界選手権への出場権を得られる大会とあって大きな自信になったという。
また、市毛さんはスカイランニングのチーム「ザスカイウルフ」に所属し、練習を重ねている。市毛さんは「チームで活動することで、各地の山のコースの特長を情報共有したり、レース中に声をかけあうなどモチベーションアップにつながる」と話す。
病乗り越え
市毛さんが山岳レースに出会ったのは、大学生の時。箱根駅伝をめざしていたが、イップスのような病で走ることができなくなっていたところ、レースの存在を教えてもらった。市毛さんは「平坦なコースでは痛みがあったが、山を走っていたら痛みが無くて全力で走れた」と振り返る。
初めてのレースで6位に入賞すると、山岳レースのとりこになった。市毛さんは「けがをしてもあきらめないで良かった。自分が元気に走っている姿を見てもらい勇気を与えることができたら」と話していた。
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