町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の150
タネツケバナ
まだまだ寒さの厳しい日もある2月中旬、ロゼット状に広げた葉を地面につけたまま、ツチタネツケバナは花芽を伸ばして、オオイヌノフグリと競うように開花する。タネツケバナの仲間はほとんどがヨーロッパからの帰化植物。湿地や水辺を好むタネツケバナ(タガラシ)や、湿った山中に出るオオタネツケバナ、水の中から生えるクレソン(オランダガラシ)など。そしてツチタネツケバナはというと、5〜10cmと一番背丈が小さいが開花が最も早く、乾いた土地でも生きられる進化系。名前の由来は、種を水に漬けて稲の苗代を作る頃に咲くから「種漬花」らしい。以前紹介した越冬植物とされ、冬は少ない日差しを効率よく浴びるために、葉をロゼット状に開いて根に養分を蓄え、春の気配を感じたら真っ先に開花する。なんともせっかちだが、生き残りをかけた彼らなりの戦略なのだろう。ただし、タネツケバナの仲間はクレソン同様にどれも食用になるから、私は花芽が出る前に少しだけいただいてしまう。生でも美味しいが少し辛味がある。
米大統領が関税のアメとムチを繰り出し各国が報復関税で対抗する最中に、ウクライナの停戦に向けて駆け引きを始めている。周囲を7か国に囲まれたウクライナの歴史は、1800年余りにわたって占領されたり分割されたり、戦争の当事者であったり、大国同士の戦争の土俵になったり、近年独立してもなお苦しい状況に置かれている。トランプだからではないが、カードが多いアメリカに対して、ヨーロッパでもっとも貧困であるウクライナにはカードが少ない。鉱物資源と穀物というカードの奪い合いで、ウクライナを土俵にして戦争が継続する可能性さえある。国同士の駆け引きで多くの命が奪われ、多くの難民を生み、故郷を捨てなければならない人々が増える。3年という長く厳しい冬を耐え忍んだのだから、小さくとも逞しい花を咲かせてあげられないものか。
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