「性で差別されない社会に」―。東京都は19日、都議会に「LGBT」(性的マイノリティ)などへの差別を禁じる条例案を提出し、町田市でも市議会本会議で性的マイノリティへ行政サービスの拡充に関する請願が採択されるなど、性の多様性についての理解が広がりを見せている。
「LGBT」とはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字を取った単語で性的マイノリティ(少数者)の総称のひとつ。それ以外にも様々な性自認や性的指向は存在する。
市内で活動している団体「虹色さざんか」(森元代表)は、「性的マイノリティを含む多様な人々が困難に打ち勝ち、エンパワーメントできるよう、気軽に安心して集える場づくりを目指す」ことを目的に、LGBT当事者やその家族、支える人たちが月に一度集まり、交流会や勉強会を行っている。さざんかの花言葉は「打ち勝つ」だ。
自身がバイセクシャルで、団体設立から携わっている事務局の渡辺まいさんは、19才の時にほかの人との”違い”を自覚。まだLGBTという言葉が浸透する前の話で、悩みを公表できずにいたが、様々な性の形があると知り、自分も肯定されたと感じたという。「もう隠れなくていいんだと希望が持てました。当時は情報がなく、そういうことに気づくことができなかった。自分にも周りの人にも嘘をついて生きてきた。同じ思いの人がいて、居場所があるんだということを今の若い世代の人たちに伝えたい」と団体設立の思いを話した。渡辺さんは昨年、同性のパートナーと結婚式を挙げている。両親には式の前に告白した。「みんなに祝ってもらい嬉しかった」と話す渡辺さん。それでもまだ職場には話すことができないという。「やっぱり怖い。もっとみんなに理解してもらい、誰もが自分らしく生きていける社会になれば」と今後の行政の動きにも期待する。
虹色さざんかが団体登録をしている男女平等推進センターでは、LGBTについての理解を深めてもらおうと11月10日(土)、町田市民フォーラムで講演会「トランスジェンダー ありのままに生きる」を開催する。午前10時〜正午。講師は作家で自身も性同一性障害当事者の虎井まさ衛さん。多様な人々が安心して暮らせる町づくりを目指し、「憶測による差別、ハラスメントをなくすにはどうしたらよいか、ともに考え話し合いたい」としている。先着40人。申し込みは町田市イベントダイヤル【電話】042・724・5656で、10月2日(火)正午から受付け。
教育の現場では
割合的に、学校の一クラスに1〜2人いるとされる性的マイノリティ。町田市教育委員会は一昨年度から、市内の小・中学校の教員を対象に、性的マイノリティの人々への理解を深めるための研修を行っている。
昨年度の研修は講義形式で、講師に教育現場において多様性と人権をいかに伝えるか模索する活動をしている任意団体・Diveinnon(ダイビーノン)の代表・飯田亮瑠(あきる)さんを迎えた。参加した約60人の教員からは「分からなかったことが正しく理解できた」など、肯定的な声が多く上がったという。学校教育部指導課の辻和夫担当課長は「教育に携わる者として、性に関わることや人権について正しい知識を持つことが重要。全ての教員にこれらの知識を知ってもらいたいので、今後も研修などの取り組みは継続的に行っていきたい」と話した。そのほか、市内の各校では、性に関する学校図書を増やすなど、確実に教育的な取組は増えてきているという。
町田版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|