年頭にあたり、本紙では小池百合子東京都知事にインタビューを行った。都政2期目を迎え、新型コロナウイルス感染症に揺れた昨年を振り返るとともに、その対策や、延期となった東京2020大会への思いと、新時代の多摩地域における取り組みなどについて聞いた。※2020年11月30日取材
志村さんの死
――昨年はコロナの1年でした。
「2020年を振り返ってみますと、大きく3つあったと思います。まず新型コロナウイルスの感染が拡大したということ。2つめは東京2020大会が残念ながら延期となったこと。そして3つめは都知事選でしょうか。
コロナについては、都内での陽性者数は5万人を超え、亡くなられた方は550人以上です。その中で、固有名詞を挙げれば、志村けんさんですね。志村さんの死を通じ、多くの方がコロナの恐さを実感しました。ご冥福をお祈りいたします。
一方で、コロナは、社会を大きく変えることにもつながっています。新しい日常、ウィズコロナの社会をどう生きていくのか。誰もが立ち止まり、考えるようになりました。、コロナは社会を大きく揺さぶるような影響をもたらしたのです。もちろん、医療従事者の皆様の、現場の昼夜を問わない努力には心から感謝しています」
100年前にならい
――東京2020大会の延期についてはいかがでしょうか。
「延期は大変辛い。準備も重ねてきて、さぁと言った時に新型コロナウイルスとの厳しい戦いが始まり、出鼻を挫かれた思いでした。一方で、100年前にスペイン風邪が大流行しました。そのことを乗り越えて、100年前の1920年に開催されたアントワープで、そこで初めて日本人選手がメダルを獲得した大会でした。スペイン風邪という感染症、さらには第一次世界大戦という大きな出来事からの復興という意味で、アントワープ大会という先例があるわけです。それを考えると東京2020大会はとにかく安全・安心な大会にすると同時に、そういった先例にならって、希望の光となるようにこれからも努力を重ねて、皆様のご協力を得て進めて行きたい。
3月から聖火リレーがスタートし、東京では7月9日から都内62区市町村すべてを聖火が巡ります。多摩地域は、自転車競技ロードレースで多摩、町田、八王子など8市がコースとなります。調布市の東京スタジアムでは複数の競技が行われるということで、世界中に多摩地域を知っていただく絶好の機会となります」
366万人の支持
――都知事選は従来と異なる選挙だったかと思います。
「都知事選については、コロナの中で接触機会はあえて控え、私自身一歩も事務所から出ませんでした。街頭演説や集会もなしで、それこそウィズコロナの中での知事選挙でした。結果的には366万人の皆様のご支持を得て、2期目を迎えました。東京大改革2・0で、さらに都民へのサービスの質を向上させるため、例えばDX(デジタルトランスフォーメーション)の徹底、待機児童の解消など様々なことを進めています。これまでの4年間の実績をさらに伸ばして、都民の皆様に都政のサービスが向上したと体感していただけるようにと思っています。
多摩地域は、特にサテライトオフィスの創設で働き方改革を推進すると同時に、多摩の新しいページが始まると確信しています。つまり、職(仕事)と住が近接するということ、また自然、緑に溢れている多摩の魅力再発見という効果をもたらすのではないだろうかと考えています」
新産業創出も
――多摩地域の振興についての取組はいかがでしょうか。
「多摩地域には、東京の3分の1に相当する400万人の都民がお住まいになっています。また、豊かな自然、高い技術力をもった大中小の企業が集積し、大学・研究機関が点在をしている。ポテンシャルに富んだ、活力ある東京には欠かせない地域です。現在、創業支援拠点を整備していますので、新しい産業のスタートアップが多摩から始まることも十分考えられます。
町田市と多摩市で言えば、多摩モノレールの延伸は、地域の方々からもかねてから熱望されています。本路線の実現により、開業区間と一体となって、南北方向の拠点が結ばれて多摩地域の活力・魅力が更に向上すると考えています。そのうえで、コスト縮減策、収入確保策などの検討課題も残っています。導入空間となりえる道路整備の課題も克服する必要があります。これらのことを沿線の市、多摩都市モノレール株式会社などと一緒に検討を進めています」
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