町田市内在住で作家の森村誠一氏(89)が4月1日、町田市名誉市民として顕彰された。作家デビュー後、数多くの作品が表彰されるなど推理作家として確固たる地位を築いた森村氏。1991年から在住する町田市においては、町田市民文学館ことばらんどの開館に向けて尽力するなど市の文学・文化発展に大きく貢献したことが称えられ、このほど6人目の名誉市民となった。
推理小説ブームけん引
森村氏は1969年に本格推理小説「高層の死角」で第15回江戸川乱歩賞、73年に「腐蝕の構造」で日本推理作家協会賞を受賞するなど、社会派ミステリーの第一人者として活躍。その後、70年代の推理小説ブームをけん引し、映画化もされた代表作「人間の証明」はベストセラーになり、推理作家として確固たる地位を築いた。近年は自身が提唱した「写真俳句」連絡協議会の名誉顧問を務め、その普及と後進の育成に取り組んでいる。
2002年には町田市文学館開設準備懇談会の会長に就任し、ことばらんど開館に向けて尽力。開館の際には図録に巻頭言を寄稿した。10年には自身の貴重な原稿や直筆ノート、初版本、愛用品など236点を寄贈するなど市の文学・文化発展に寄与している。石阪丈一市長は「日本を代表する推理作家のひとり。市にも貢献され、まさに名誉市民としてふさわしい。これまでのご功績に感謝申し上げます」とコメント。森村氏には名誉市民証と記念品が贈呈された。
名誉市民表彰を記念した森村誠一展が現在、町田市民文学館ことばらんど1階文学サロンで開催されている。
展示会では、代表作「人間の証明」の草稿や執筆に使用した複数のペン先、挿絵や初版本など、同館が所蔵する貴重な資料を展示し、森村氏の業績を振り返る。入場無料。7月3日(日)までの午前9時〜午後10時まで。毎週月曜、第2木曜日休館。
先輩名誉市民たち
昨年、5人目の名誉市民に推挙された伊賀健一氏(1940〜)は2013年に世界的学術賞「フランクリン賞」の最高位バウワー賞や市民栄誉賞、18年には瑞宝重光章を受賞。21年に高速レーザープリンタやスマホの顔認証などに応用される「垂直共振器型面発光レーザーの概念創出、物理、及び開発への先駆的貢献」に対して電気工学・電子工学の最高位、エジソンメダルを受賞した。ほかには1997年に推挙された版画家・畦(あぜ)地(ち)梅太郎氏(1902〜99)と随筆家・白洲正子氏(1910〜98)、2014年に推挙された造形美術家・三橋國民氏(1920〜2018)、18年推挙の指揮者・荒谷俊治氏(1930〜2020)がいる。
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