一級建築士で、農村伝道神学校内(野津田町)にある古民家を全面改修した 丸谷 博男さん 「IDEA CENTER浮輪寮」寮主 73歳
古民家に新たな息吹を
○…「木造の旧女子寮を保存できないか」という相談を受け、農村伝道神学校に訪問したことが、里山の中の近代建築遺産との出会い。予算等の都合で女子寮の解体は決まったが、コロナ禍における「事業再構築補助金」に応募し、校内にある築70年以上の和風住宅の修復が採択された。「こんな時代でなかったらこのプロジェクトは成立しなかった。まさに千載一遇のチャンスを得た」と振り返る。古民家のリノベーションが可能となり、日本の歴史・文化・芸術・哲学を学ぶ拠点づくりが始まった。
○…石川県に生まれ、世田谷区などで育つ。東京藝術大学を卒業し、同大の非常勤講師を約40年務める。在学時より環境共生や、太陽熱を利用するOMソーラー、地熱利用に造詣を深め、現在では代表を務めるエコハウス研究会で環境共生住宅「soradomaの家」を推奨、全国に普及させるなど、自然エネルギーを活用した暮らしの実現に尽力する。
○…同研究会や40歳で設立した設計事務所のほかに家具デザイン、建築職人養成の団体、太陽エネルギー学会などに携わる。日本の住宅を健全なものにしたい。無垢材の加工ができる職人、設計者を育成したい。無垢材の家具やインテリアの良さを伝え、そのサステナブルな価値を知らせたい――。それらが使命。
○…妻との間には3人の息子たち。長男は金沢大学の准教授になり、まちづくりなどに取り組んでいる。次男は建築士として独立し、親子共同での仕事もするように。移住した奥多摩で町おこしなども展開。同居する三男は、自身の趣味の一つでもある自動車の世界に飛び込んでいる。「みんなそれぞれ、何かしら僕がしてきたことに繋がっているね」と照れてほほ笑んだ。
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