金井で薬局を開く薬剤師の井上俊さんが認知症について考える場を広げている。認知症の悩みについて語り合う交流のスポットをつくり、映画を通じて周知を進めるなど、町田市が掲げる認知症とともに生きる街づくりに貢献する。
「認知症とは」「もし、身近な人がなったら」――。認知症について考える機会となった2月に行われた催し「まちだDサミット」内の映画上映会。町田市が「認知症とともに生きるまち」を考えるイベントとして毎年開催しているなか、今回は若年性アルツハイマー型認知症と診断された人の実話をもとに本人、支える側の気持ちについて考えるこの映画が選ばれた。
開催に協力したのが、金井で薬局(おれんじ薬局)を開く井上さん。「映画であれば、老若男女、気軽に認知症について考える機会になると思って。好評で何より」と振り返る。
一方で井上さんは半年前に、おれんじ薬局で認知症に関する相談、支え方などについて語り合う「認知症カフェ」(毎月第2木曜日にオープン)を開設した。人と悩みを共有することで、自分なりの答えを見つけてもらいたいといい、認知症になっても不安なことはないということを「周知していければ」と意気込んでいる。
震災 きっかけに
井上さんが認知症の支援に目を向けるきっかけとなったのが、2011年に起きた東日本大震災。支援のため、被災地を訪れた際、避難所生活で人との交流が減り、認知症の症状が悪化したという話を耳にしたことが活動の原点となった。
当時、在宅介護にあたる薬局に勤務し、自分の足で病院へ行くことができない状況にある人たちを目にしていたなか、「この方々も同じでは」と危機感を覚えたのだという。以来、認知症のサポートに力を入れるようになり、オープンさせた自身の薬局には認知症支援のシンボルカラーとなっている「オレンジ」を店名に。「まだまだ活動を始めたばかり。支援の輪を広げていきたいと思います」
4月、上映会
井上さんは4月30日(火)、先日行われたまちだDサミットで披露された映画「オレンジ・ランプ」の上映会を町田市内の認知症関係団体らと共催する。会場は和光大学ポプリホール鶴川(能ヶ谷)で、時間は午後1時から4時まで(12時15分開場)。参加無料、要予約。上映後には原作モデルの丹野智文さんによるトークイベントもあるという。
申込は4月15日(月)までに上記二次元コードから。問い合わせはDフレンズ町田【電話】042・732・3451まで。
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