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町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の140

公開:2024年4月25日

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宮司の徒然 其の140

春を迎える

 雑草という括りは好きではない。雑草魂なんていう言葉があるが、これは雑草のような一般人の中から、努力して成功者になった人を称賛すると共に、努力すれば誰でも立派な花を咲かせることができるという例え。小さくとも目立たなくとも、名があり、個性があり、花が咲く。

 ただし人間目線だと見えにくかったり、地味だったりするだけのこと。反対に花が地味でも葉が大きくて見た目がよかったり、葉っぱや根っこや果実が美味しかったり、薬効があったりすると、雑草の括りに含まれなくなる。

 そんな人間のわがままな括りに「貧乏草」などと呼ばれるハルジオンやヒメジオン。松任谷由実が歌にしたことでほんの少しメジャーになりかけたものの、依然として雑草として扱われる。花の色に個体差があり、その区別の仕方は茎に出る葉の巻き方の違いらしいが、ぱっと見で判別は難しい=写真。どちらも帰化植物で、荒れ地などの劣悪な環境にも強く、繁殖力も旺盛。どこにでも生えるから貧乏草という呼ばれ方までされている。

 しかし、春を味わうなら七草粥よりもお手軽で美味しい。以前、旧暦七草の頃に七草を探してみたが、2月初旬にコオニタビラコ(ホトケノザ)やナズナ、チチコグサ(オギョウ)の若芽を集めるのは容易ではなかった。しかし、ハルジオンやヒメジオンはどこでも勝手に出てくる。蕾が上に向いていない15センチくらいの若い茎と葉が食べごろ。天ぷらやおひたしで春の苦みもほどよく味わえる。蕾が上を向いて開いてしまい、一面に繁茂するようになると、申し訳ないが雑草の括りの代表格に戻ってしまう。

 一方、人間の価値は身体的な成長が止まってからが、本当の人間的な成長の真価が問われる。これは国家にも言えること。経済が発展して生活レベルが向上し、とっくに成熟していなければならない国々が、今も軍事力でけん制しあっている。ミサイルを打ち合っている。それに比べたら日本の中枢は、裏金問題でやったやらない、知りません、なすりつけ合い。あるかないか分からない記録の終わらない精査。小さい。せこい。成長してない。国際的な秩序と連携の構築とか、立派な理想を外に発信しているあの方も、取り巻きの閣僚も、殊に選挙が近づくと足元のご機嫌をうかがう。

 雑草と侮るなかれ。食えたり、薬になったり、繁茂して足をすくわれることもある。穏やかに春を迎えたいなら、まず自分を整えてから。

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