相原町の団地で障害者による高齢者支援が進んでいる。高齢の独居住民が多いとされる相原地区の都営団地「武蔵岡アパート」。近隣に買い物できる場が限られるなか、障害者が通所する就労継続支援B型事業所が団地内で野菜・惣菜などの販売を5月に開始。買い物代行や弁当の配達なども行い、高齢住民を助ける。
もうすぐ3カ月
900を超える戸数を数える「武蔵岡団地」。鉄道駅から離れ、周辺にはコンビニとドラッグストアが1軒ずつしかないなか、団地敷地内で野菜・惣菜の販売を始めたのは、就労支援事業所であるクロニクルワークス町田相原が運営する「むさしおか商店」。平日の毎日、弁当を配達し毎週火・木曜日に店舗で野菜などを販売。オープンからもうすぐ3カ月となる現在、賑わいをみせるようになっている。
店舗を訪れた住民のひとりは「これまではバスに乗り、相模原市にあるスーパーまで出かけていたが、ここで野菜が手に入ると聞き、来店した」と話し、むさしおか商店で弁当を購入するようになったという男性は「毎日のようにお願いするようになった。おいしいよ」と微笑む。
クロニクルワークス町田相原を立ち上げた株式会社クロニクルの代表取締役、奥澤高広さんは「店先にある椅子でひと休みされる高齢者もみられるようになった。独居の高齢者が多い団地。見守りにもつなげていきたい」と意気込む。
「好循環を」
業務にあたる障害者にとってもむさしおか商店で作業にあたることはプラスなっているようだ。奥澤さんによると、障害者が働くうえで壁となることの1つが、業務のスピード。素早い作業を求められる職場では対応できずに力を発揮できなくなる障害者が少なくないというものの、むさしおか商店での接客はゆっくり丁寧な対応を好みがちな高齢者と対面することが多く、「相性」が良いのだという。
利用者に商品の梱包、販売や買い物代行などの業務を任せているという奥澤さんは「普段、支援されることの多い障害者にとって、『ありがとう』と喜んでもらえることはやりがいにつながっていると思う。このような好循環を生んでいければ」と力を込める。
そして、今後は店の周知を進め、障害者が高齢者を支援する事例として確立させていきたい思いもあるという。「町田からそのようなモデルケースを発信していければと思います」と話している。
むさしおか商店は都営武蔵岡アパートの10号棟1階にある。問い合わせは同店【電話】042・850・1137まで。
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