町田市の畑で育てた麦を使用した地ビール「まちだの」が、今月から市内の酒屋などで販売されている。町田市小野路で農業を営む「あした農場」の渡辺恒雄さんらの「地ビールというからには町田産の原料を使いたい」という思いから始まった取り組み。「地元への思い、つなげていきたい」としている。
「まちだの」はホップの香りが強く、苦味が少ないペールエールで、薄い琥珀色。町田の畑で収穫された麦が100%使用されており、今回は瓶約350本分と樽3つ分が作られた。渡辺さんは「ビール好きの農家として、夢だったビール作りが実現してうれしい」と笑顔を見せる。成瀬の酒店「さかや栗原」などで販売されている。
課題解決の一手
日本各地でクラフトビールや地ビールが販売されているが、原料となる麦芽はほとんどが輸入品だという。この事実を知った渡辺さんが「町田で育てた麦を使ってビールを作ることは、農家として面白い試みになる」と考えたことがきっかけとなり、2019年の冬に最初の種がまかれた。麦やホップの栽培や、醸造所探しなど課題は多かったが、試作されたビールの味に感動。「より多くの人に」と一般発売に向けて動き出したという。
また、町田市内では高齢化などの影響により農地が年々減少しているという現状があり、それに歯止めをかけたいという思いも動機となった。比較的育てやすいとされる大麦であれば、農地の有効利用も目指せると考えているという。
そして、商品名は「『町田の畑で町田の農家が育てた麦を使い、町田の美しい里山の景観を守りながら、未来へと繋げていきたい』という地元への思いを込めてつけた」と渡辺さんは説明する。
ホップも
ビールの香りや苦みに影響を与えるホップも、町田産のものを使用することを目指し、栽培に挑み始めたという。今年は市内4カ所で試験的に育てられ、そのうちの1つである図師町の河合農場では3種類を栽培。今年の9月には一部が収穫され、河合紀彦さんは「無農薬、無肥料で育てているが、予想以上に収穫がありそう。今後は味や収穫量を比較しながら、ビールに使用するホップを選んでいきたい」と話している。
楽しみ続ける
渡辺さんは今後の目標を「長く続けていくこと。みんなが楽しんでビール作りを続けていくために、どうしたらいいかを考えている」といい、今年に入って、「ビール部」を創設したという。種まきや雑草刈り、寒さに強くするための「麦踏み」などを手伝ってくれるメンバーを募集し、40人ほどが集まった。「ビール作りは皆で楽しむことができ、さらに一緒に乾杯をすることで笑顔が広がるのが良い。『まちだの』が人のつながりを作るきっかけになればうれしい」と話している。
まちだのは冬頃から順次、醸造が進められ、今年収穫された麦と合わせ、ホップも一部に使用される予定という。
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