町田天満宮 宮司 池田泉 宮司の徒然 其の145
虫密度
酷暑がようやく落ち着いたかに思えた10月も半ば、30度近くなる日もあったり、衣替えしてしまって困っている人も多かったようだ。9月下旬の当社例大祭の頃に咲いているはずの曼珠沙華(彼岸花)が10日ほど遅れ、とうとう地中の球根も異変を感じるようになったらしい。
毎年作るグリーンカーテンは、宿根性のオカワカメとゴーヤ、そしてシカクマメという欲深いラインナップにした。いずれもカメムシが寄りづらくて食用になるものだけ。酷暑のせいでゴーヤは大きくならないうちに熟してしまう傾向が強くなって、うっかりすると黄色くなって割れ、毒々しい赤い中身がこぼれ始めてたりする。宿根で越冬できるオカワカメは春に勝手に芽吹いてきて、茎も葉もくせがなくワカメのようで美味しい。シカクマメは本来20センチくらいになっていたのに、今年は小さいうちに硬くなる鞘が多かった。元々亜熱帯地域の植物で、まず沖縄地方と九州で栽培が始まった。我が家も重宝しているように、グリーンカーテンとしても利用できたことから、次第に関東でも見られるようになっている。マメ科特有の形の花は大柄でいて淡い薄紫でお気に入り。主に食べる鞘は多少の苦みがあるものの茹でても炒めても美味しい。しかもオカワカメ同様に葉も茎も食べられる上に、地中の芋も食べられる優れもの。しかし、本来は熱帯植物で多年草、つまり宿根性のシカクマメだが、日本に連れて来られて冬に耐えられず1年草になった。だから寒くなって枯れたら、土を掘って芋を食べるも良し、または春まで保管してみるのも可能かもしれない。なぜなら、山芋やカラスウリ、オカワカメなどの蔓性植物は地下茎が太るほど春に芽吹いてからの勢いが違うから、年々収穫量が増えるのではないかと欲どうしい期待をしている私。
心配なのは温暖化が進むと、シカクマメが本来の多年草に戻るのではないかということ。これは収穫につながるから良いとして、巷ではカメムシが越冬できるようになって増殖し、米や果物に大損害を与えている。虫嫌いな人たちにとっては大問題。ゴキブリ、カメムシだけに留まらず、このままだと越冬できる虫がだんだん増えていくのは間違いない。越冬と呼ぶほどの厳しい冬ではなくなるかもしれないのだから。人口減少傾向と虫密度増加傾向。原始に帰っていくような響き。虫が嫌いではない私も、季節感が壊れてしまうのは困る。
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宮司の徒然 其の142町田天満宮 宮司 池田泉5月16日 |
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