来夏に国際版画美術館で「町田と自然」をテーマに展覧会を開く田中 彰さん茨城県在住 30歳

掲載号:2018年12月20日号

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木の持つ魅力を引き出す

 ○…「自己表現よりも、その木の持っている魅力を引き出したい」。自然と人との関わりを木版画で表現する新進気鋭の若きアーティストだ。木と正面から向き合う今のスタイルを築いたのは約5年前。ヒマラヤスギを材料に用いた作品を作ったときに「木の面白さに気づいて虜になった」と話す。素材とする木を前に、向き合い、特性を探る。例えば今回の展覧会に用いるエゴノキは歴史を調べると、日本古来の木であり、将棋の駒やおもちゃの材料だった。

 ○…岐阜県に生まれ、武蔵野美術大学の油絵学科で版画を専攻。その後、大学院の版画コースを修了した。これまで「樹について」「木に人を接ぐ」「旅する木」などの個展を開き、数々の賞も受賞した。素材に合わせて彫り込むため、作品づくりには従来の彫刻刀ではなく電熱ペンを使う。「まずは素材ありき。木と向き合い、受け入れると、そこから何かが生まれる」。独自の手法で、温かみのあるイメージと世界観を展開する。

 ○…来夏の企画展に向けての一歩は、素材となる木の伐採から始めた。芹ケ谷公園に立つエゴノキは、子どもたちが木登りを楽しんでいた木だった。再整備で伐採予定となっていたこの木から版木を切り出し、町田の木やそれに関わる活動をする人たちから得たイメージを刻み込む。

 ○…伐採には細かい指示を出した。「木の成長過程とは逆に切っていくことで、その木が生まれた姿に戻っていけるように」。国際版画美術館の外にあった木が作品として再生され、館内に入る。「外の世界と美術館がつながる。相互に関心を持ってもらうきっかけになれたら」。作品づくりはこれから。素材をアトリエへ持ち帰り、木の声に耳をすます、語りかけることから始めるつもりだ。

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