八王子駅南口の87の店舗・企業が加盟する八王子南口商栄会(青木進会長)。同会が主催して10月25日(日)、「南口」の名物とも言える仮装イベント「ハニーズガーデン」(以下ハニガ)が行われる。元々このイベントは周辺の若者有志が中心となってはじめたもの。スタートから4年、このハニガがきっかけで「街が明るくなった」「通りに人が増えた」と、商栄会関係者は口を揃える。商栄会の会員数はこの3年間で18人増加。活性化の背景を探った。
2011年、東日本大震災の影響で恒例の八王子まつりは中止となった。イベントがなくなり少し寂しくなった街を盛り上げようと、駅南口、子安町にあるデザイン事務所「株式会社トリッキー」の高須賀文子(あやこ)さんと毛利朋子さんが立ち上がった。高須賀さんらは同年7月、仲間とハニガの第1弾となる「浴衣まつり」を企画。南口周辺の対象店舗に浴衣で訪れた人に特典があるというもの。「通りに人が集まってね。今までこのようなイベントが商店街ではなかったから楽しかったよ」と参加した商栄会の会員は話す。
「このエリアには個性的なお店がたくさんある。そのことをもっと知ってもらいたい」。高須賀さんはハニガの趣旨をそう説明する。特に女性へのPRを強く念頭に置いており、イベント名は「甘い感じ」にした。
「続けるため」入会
高須賀さんは07年、東京造形大学(宇津貫町)卒業と同時に、同社を立ち上げた(当時は有限責任事業組合)。店舗・企業の販促物のデザインや、フリーペーパーの発行などを行っており、クライアントは「ほぼ100%八王子の方や会社」という。南口については、出身の下町(墨田区)に似た感じもあり、「居心地がいい」と話す。「個性的な店が多いから個性的なお客さんがやってくる。だから楽しい」
高須賀さんらはその後、11年10月、12年4月、7月と定期的に同様のイベントを開催。参加は飲食店が中心。「仮装」「スーツ」「浴衣」などでの来場者に特典をつけるという内容でそれぞれ好評を博した。その一方、「手弁当で協力する」店主らイベントスタッフへの負担も徐々に増していった。「このままだと自分たちの仕事(本職)ができなくなる。ハニガを続けるために、商栄会のイベントにしよう」と、ある会員が呼びかけた。
13年春、それまで商栄会にあまり興味を示さなかった若手店主らが「続けるため」一気に入会。「15人くらい入ったんじゃないかな」と当時を知る会員は振り返る。ちょうど会長に就任したばかりの青木さんは活性化に前向きで、高須賀さんらの行動に理解を示し、「若い人が一生懸命にやっていることを応援したい」と歓迎した。
ハニガは以後、商栄会の主催で年1回10月の開催となり、「店舗でのライブ、展示など」「チケット制による飲食店などでのサービス」「ステージ」、そしてハロウィンにちなんで「仮装」をメインとする現在の形に。「ぜひこの機会にお店の中へ入って楽しんでもらいたい」と高須賀さんはイベントを通じての店舗の認知度アップに期待を込める。
今年は25日 規模拡大
高須賀さんによると「南口の飲み屋では一ヵ月前くらいから当日の仮装の話がでる」そうで、ハニガはすっかり「南口」「商栄会」を代表するイベントとして定着しているようだ。ある会員は街の雰囲気が変わったと実感する。「若者が増えて商栄会が明るくなった。他に比べて空き店舗は少ない方だと思うよ」。青木さんは「12年に68人だった会員は、(今年10月現在で)86人にまで増加した」と喜ぶ。中には一度退会したが、昨今の賑わいを見て、再入会した人もいるそう。
まちづくりの専門家「タウンマネージャー」の星見和男さん((株)まちワイ=旭町)は「かつては団体意識が強く、商店会には多くの店が加盟していた。しかし経済が厳しくなり店舗の運営が優先で、会のイベントになかなか参加できない。すると会のメリットを感じなくなる。一方、南口商栄会はイベントで客を集める仕掛けが作られていて、その点を新規会員にしっかり説明し、会員数の増加に繋げているのでは」と話した。
25日の開催でハニガは8回目を数える。今回は会場を拡大、また子安市民センター(子安町)と協力し、同センターのまつりと同時開催となる。
![]() 会長の青木さん
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