弐分方町の株式会社アトム精密が先ごろ、技能者育成で成果を上げている都内中小企業を都が表彰する「東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞」の最高評価となる大賞を受賞した。「これまでの積み重ねが評価されたのだと思う。大変うれしい」と同社代表取締役の一瀬康剛さん(48)は喜びを語っている。
カセットディスクの製造などにあたる会社として1981年に設立し、現在は従業員54人で、主に産業用機器の設計、製造などを手がけている同社。
今回、評価を受けたのは、製造担当者一人ひとりが身につけている技術を一覧にし、新人に技術指導する際、その適任者がひと目で分かるようにした取り組みなどだ。
この指導者を明確化させる仕組みを取り入れる前は、新人が求める技術の知識が十分でない先輩社員が指導にあたり、新人の技術習得につながらない、などの事例が少なくなかったという。
しかし導入後は、社内の生産性が目に見えて上がっていった、と一瀬さんは話す。「指導にあたる社員にとっても、自分がどのくらいの技術を習得しているのかが、ひと目で分かるようになり、より多くの技術を得ようと努力する社員が増えました」とその「副作用」に笑顔を見せる。
批判がきっかけ
「現場で使えない。どうにかして下さい」――。今回評価を受けた取り組みを始めるきっかけになったのが、一瀬さんに向けられた先輩社員らの辛辣な言葉だった。5年前、製造現場でなかなか技術を覚えられない新人に対し、一瀬さんにその処遇改善を申し出てきたのだ。
「ちょっと待て」。一瀬さんがその状況を正確に把握するため、先輩社員らの話しを聞くなどすると、新人が技術を覚えられない原因は指導係である先輩社員にもあるのではないか、という結論に行き着いたのだという。「場当たり的に教えたり、人によって指導法が異なるなど、指導体制が十分でなかったんです」
「ダイバシティー経営」 構想後押し
そこから一瀬さんは誰が何を教えられるのかを明確にする必要性を感じ、仕組みづくりに着手。
少子高齢化時代を迎え、外国人や女性社員などを積極的に採用するダイバシティー経営を目指そうと考えていたことも、取り組みを進める動機のひとつになった。「国内では必要な人員を採用できなくなってきている。外国の方でもしっかり技術を学べる体制をつくりたかったんです」と一瀬さんは当時を振り返る。
実際、仕組みを本格導入した3年前から会社の業績は売上収益とも右肩上がりに。「この教育体制だけが要因ではないかもしれないが、効果的に働いていることは間違いないと思う」
今年4月に入社した製造部門で働く田中博康さん(19)は「業務について事細かく教えて頂けるので助かっている。他部門の仕事にもつかせて頂くなど、様々な経験をさせて頂いている」と笑顔を見せる。
一緒にボランティアで東日本大震災の被災地支援に行くなど、一瀬さんと十年来の友人だという、柏田恆希(こうき)さん(44)は「一瀬さんが業績の悪かった会社を引き継ぎ、立て直すために苦労してきた様子を見てきただけに、今回のような賞を受賞され、本当にうれしい」
裏切らない、逃げない人と評する友の功績を共に祝杯をあげて祝いたいと話している。
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