2020年東京五輪・パラリンピックの先で勝負を――。そんな考えをもつ高校生が下恩方町の聖パウロ学園高等学校にいる。同校馬術部で主将を務める瀬川裕哉さん(3年)だ。経験が結果を大きく左右する競技で、「まずは今夏行われる高校総体の表彰台を目指したい」としている。
4月、府中市で行われたインターハイ馬術競技・団体戦の関東予選で同校は2連覇を達成。瀬川さんは最優秀選手に選ばれた。
1校3選手が出場し、障害物があるコースを「規定通り走る」力とそのタイムから導き出された、3人の総得点で勝敗が決まる競技。瀬川さんよりも、高得点を挙げた選手はいたが、コントロールが難しい馬を「操った」ことなどが評価されての個人賞だった。
「乗ったことのない馬を使い競われるんですが、試合前に与えられる3分間の試乗で、その特徴を把握する必要があるんですよ」。”初乗り”でも、「いつも乗っている馬に似ているな」「大人しい性格かな」など、これまでの経験からどのようなタイプの馬か、瞬時に複数のパターンが瀬川さんには浮かぶのだという。
そして、特性を知り、それに合わせた乗り方をすることができるのが瀬川さんの”強さ”の秘訣だ。「この競技は豊富な経験が好結果につながりやすいんです」
3歳から
そんな瀬川さんの乗馬歴は15年を超える。馬を育てていたことのある祖父母などに勧められ、3歳の時に市内の乗馬クラブに入会。初めてポニーに乗った時は、ポッカ、ポッカとゆったりと歩くその乗り心地の良さに気づいたら眠ってしまっていたのだという。「今でもよく覚えています。本当に気持ち良かったんです」
以来、クラブで練習を重ね、小学校高学年になる頃には競技馬と毎日を過ごすように。「試合に出場するようになると、負けるのが嫌でもっと練習しなければ、と思うようになりましたね」
負けず嫌い
瀬川さんの”負けず嫌い”に太鼓判を押すのが、馬術部顧問の伊東竜先生だ。「根っからのですね。ただ、勝つために馬のことを考えるのではなく、好きだから深く接している。強いのは馬との信頼関係が築けているからだと思います」と話し、主将として部員をしっかりと見てくれる頼りになる存在とも。
一方、瀬川さんを「皆に愛される生徒です」と話すのは、クラス担任である望月悠先生。普段はいたずら好きで「可愛いところがある」反面、オンオフの切替えがしっかりしていると評し、クラスでも一目置かれているのだという。
「教えてもらう」存在
瀬川さんにとって馬は「教えてもらう存在」だという。どうしたら前に進んでくれるのか、何をすれば、希望通り動いてくれるのか――。馬と対話をし、教えてもらいながら競技に取り組んでいるのだという。そして、毎日会っている、戦友だ、とも。
約2年後に迫った東京五輪に対しては、「その時はまだ20歳。経験不足で戦えないと思います」と、自己の力を冷静に見つめ、60代でメダリストとなった選手もいる、経験を十分に積んだ後に考えたい、と五輪への憧れを口にする。今は、来月行われる個人戦の地区予選を通過した上で、個人、団体共に今夏のインターハイで表彰台に上がることを目標にする。「団体戦の方が大切かな。みんなとの最後の夏なので」
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