大病院の責務果たす

　○…30科、５００床ある八王子の大規模病院のひとつ。「いい人材が増え、手術レベルがあがっている。高度急性期病院として、この質を維持していきたい」。赴任10年目で病院長に。一方循環器医として現在も診療にあたる。また学会の理事として、来年夏に開催する大規模な学術大会の準備も進める。そして教授として学生の論文もみる。「大学病院なりの忙しさ」の中、黙々と任務をこなす。

　○…大阪府の出身。３人兄弟の次男で、父親は外科の開業医。治安が不安定な地域で、実家をかねた医院には銃で撃たれた患者が運ばれてくることも。そんな光景を目の当たりにする中で、父と同じ道を進む気にはなれないでいた。しかし高１のとき、転機が訪れる。父に虫垂炎の手術をしてもらった。「それがとてもかっこよかったんですね」。医師を志すきっかけに。兄、弟も医師になった。

　○…大学ではスキー部に所属。アルペンスキーに勤しんだ。スキーは趣味として続けており今はバックカントリー。「立山〜槍ヶ岳ルートを滑ってみたいね」。ジャズギターが好きでジム・ホール、ジョージ・ベンソンなどをよく聴き、演奏もする。ビッグバンドに参加したこともあるそう。

　○…赴任前は日本医科大学で活躍。開業を考えた時期もあった。あるとき知人の紹介で登山家・三浦雄一郎さんを診断することに。75歳でエベレストに登るという。不整脈の不安がありベースキャンプまで同行。その偉業をサポートした。「あの経験が大きかった。自分もチャレンジしてみようと」。声をかけられていた現病院へ移ることを決めた。「これからも八王子の中核病院として皆様の期待に応えたい。急性期の対応にさらに力を入れていきたい」。地域医療における大病院の責務を果たしていく。