イチジクを東京の特産品にしようと、大和田町在住の若手農家、舩木翔平さん(30)が奮闘している。2年目に入ったこの取り組みには、イチジク栽培を遊休農地活用のモデルケースにしたい考えもある。
例年以上の酷暑にみまわれた8月上旬。小比企町の一角にあるイチジク農園に舩木さんの姿があった。その目の先には、約80本のイチジクが赤や緑の実を実らせ始めていた。
「取り組みを始めた昨年は天候不順だったこともあり、十分な実がならなかったんです。今年はこの暑さでも順調。9月には収穫できると思います」と笑顔をみせる舩木さん。
昨年の10個から、今年は300個近くの収穫が見込めるという。「取ったものは、八王子市内の飲食店やパン屋さんなどに使ってもらう予定です」
特産品が少ない
農業を進化させたい――。そんな思いをもち、野菜づくりにあたる一方で、新しい農業の形を求め、全国各地を見てまわる生活のなかで気づいたことが今回の取り組みのきっかけとなった。
「あれ、東京って特産品が少ないなぁ。京都であれば八つ橋、名古屋であれば何々と思いつくのに」
ではどうようなものに可能性があるのか。そう思考を巡らせるなか、行き着いたのがイチジクだった。関東ではイチジクを名物としている街は多くなく、広い農地をもっていない都内、八王子でも効率良く栽培できるものとして、その可能性が頭に浮かんだ。
「八王子などでは、イチジクって、まだまだ馴染のない食べ物だと思うんですよね。イチジクとチーズ、ワインの組み合わせなんか、最高ですよ」
「寝かせたまま」解消に
一方で、舩木さんの頭にあるのが、遊休農地の活用にもつながる、という思いだ。全国的に、後継者がいないために使われなくなった田畑が増加しているなか、「寝かせたまま」の農地を活用する方法の一つとして、イチジク栽培を確立したいのだという。
「果物は野菜などよりも農家の負担が少ないうえ、イチジクは、水はけが良くない土壌などでも育つので遊休農地の活用にもつながると考えたんです」
そして、加工品として福祉施設などにその作業を依頼することで新たな仕事が生まれることにもなる、とも話している。
協力者続々
そんな思いでスタートした「東京いちじく」プロジェクトと名づけられたこの取り組み。まだ道半ばだが、多くの人の支援で日々前進しているのだという。栽培の方法を教えてくれる全国各地の農家や、イチジクの苗木をプレゼントしてくれた小宮在住者など、舩木さんがSNS上でつながった人たちも支援してくれている。
「不思議ですよね。みんな、何の抵抗もなく協力してくれるんですから。ありがたい限りです」
10月にイベント
10月19日(金)には、JR八王子駅南口近くの飲食店「キッチンロッコ」で収穫を祝い、イチジクの料理やスイーツを食べて楽しむ企画を予定しているという。
「ゴロ合わせで、10月19日を東京いちじくの日にしたんです。多くの方に集まって頂ければ」
「東京いちじく」に関する問い合わせは同プロジェクトのHP(https://tokyofig.com/)へ。
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