市立秋葉台小学校(別所)ではボランティアチームが学校からの便りなどを英語に翻訳している。「日本語の理解に不自由している」保護者に向け今年4月から始めたもの。外国人家族の孤立を防ごうと力を合わせる。
「日本語不自由」の助けに4月から 11人で
「昨年7月と今年2月、新入生向けの学校説明会を開いた際、これまで英語圏で暮らしていて、日本に来て日本語に不自由されている家族が訪れました。別件で、同様の保護者の方から給食のアレルギー対応について問い合わせがありました」。藤塚康子校長は背景を説明する。
小学校に英語の教諭はいない。悩んだ藤塚校長は、別のボランティア活動に参加している保護者で、「英語が話せる」と認識のあった島田まり子さんに相談した。一方、島田さんは外国から訪れた知人から、子どもの入学について同様に相談を受けていた。「手紙など不明点をそのままにしている外国の方も多いのでは」――。学校側からの提案がありこの春、翻訳の仕事をする保護者を含め11人が集まり「外国語ボランティア」が誕生した。
主な活動は家庭に配布される手紙類の翻訳。今年度は1年生の「学校便り」が中心。便りが出されるごとに担当者が自宅で作業をする。また、別活動として夏休みにイベントで英語遊びを企画。児童と保護者らに楽しんでもらう機会を設けた。
ポテチは食事?
スタートして半年、課題も見えてきた。「例えば『下敷き』は、そもそも使わない国がある。『ポテトチップス』はおやつでなく食事のところもある」(島田さん)。翻訳の際、文化背景を理解し、そのもの自体の説明や違いの記載も必要とわかった。「保護者が望んでいても介入できない個人情報に関わることもある」「ボランティアだけでできる量に限界がある。『日本語を話せない』保護者がまわりの保護者たちと繋がっていくことが大切」。気づきや発見は多々ある。なお翻訳した便りはデータ化し、次年度以降に活用できるようにしたいと考えている。
1年生の保護者、キャップ・レイチェルさんは8年前、夫婦でアメリカからやってきた。「日本語は難しい。平仮名でないとわからない」。日本語について、聞くことにほとんど支障はないが、読むことは「小学2、3年生レベル」という。便りの悩みは、子どもが幼稚園のとき知人の島田さんに相談した。「(便りの翻訳は)とても嬉しい。でもコミュニケーションは難しいですね」と話した。
「孤立防ごう」
今後についてメンバーは「外国人の家族が孤立をせず、かつ、こちらが関わりすぎず個人情報に触れないで手伝う方法を探す」「英語=単なる語学ではなく、世界を身近に感じてもらい国際理解につながる活動ができたら」と意欲的だ。藤塚校長は「すごい方々に集まっていただいた。いずれは子どもが楽しく英語を覚えられる、そんな活動に発展していくといいですね」と期待する。