フォトジャーナリストとして活動する、山田町在住の久保田弘信さんが先ごろ、その半生をまとめた書籍を発行した。「数多く失敗しても諦めなければ夢は叶うという、私が経験してきたことを伝えたかった」と久保田さんは話している。
これまで久保田さんは、アフガニスタンの戦場やパキスタンの難民などを取材し、それら現地で撮った写真をまとめた個展を開いたり、戦場カメラマンとしてTVやラジオに出演するなどして、現地の様子を日本へ伝えてきた。今回出版した書籍「世界のいまを伝えたい」(汐文(ちょうぶん)社発行)には、久保田さんの幼少期のころの様子から、戦場カメラマンを目指すきっかけとなったこと、現地での体験談などが盛り込まれている。
「私はこれまで挫折ばかりでしたが、こんな男でも諦めなかったら、夢が叶った。そのことを伝えられたらと思い、今回の仕事を受けました」と久保田さん。子どもたちには諦めないことの大切さを、今の生活で精一杯という40、50代には、世界へと目を向けるきっかけに、という思いをこの一冊に込めたという。
飽くなき探究
この一冊から感じられるのは、久保田さんの飽くなき探求心だ。元々、幼少の頃からの夢が物理学者になることだったという久保田さんは小学校低学年の時、父親に連れられて行ったプラネタリウムで見た物理実験の様子などに衝撃を受け、家庭の事情で大学院への進学を諦めざるを得なくなるまで「物理」を追求し続けたこともある。
「例えば今、この瞬間に太陽が爆発してなくなったとしても、地球にいる私たちが気づくのは約8分後。何かすごくないですか。そんなロマンある世界を知りたかったんです」
正義感が原動力に
更に、カメラマンとなったことで、その探究心は深まっていったようだ。その「火種」となったのが、持ち前の正義感。内戦などにより、子どもが死んでいる場面に多く遭遇し、「なんでだ。これは伝えなければならないこと」――という一心で、これまで数多くの戦地や難民キャンプへと足を運んできたのだという。「美しい風景の写真を撮ることは他の人にもできる。でも、戦地や難民キャンプの生きた姿を伝えられるのは私しかいない、とこの仕事を続けてきました」と久保田さんは戦場カメラマンで居続ける理由を話す。サーフィン仲間という、北野町の市場、八王子総合卸売センターの佐藤正男社長はそんな久保田さんを「正義感の強い方。ゴルフなどにも一緒に行くが、合間に難民のことなどを熱く語っている。ただ、まだまだサーフィンは上手くないけどね」と笑顔を見せる。
そんな久保田さんは現在、戦場カメラマンからの引退を考えているという。「心も身体も持たない。そろそろ」と。そして、いずれ自分の子どもを持ちたいとも。「現地で多くの子どもたちを見てきた。かわいいからね」
講演を受付
久保田さんのもとには、戦場カメラマンとして、その生き様について聞きたいという講演依頼が後を絶たない。「私の経験がお役に立つのであれば受けさせて頂きます」
問い合わせは久保田さん【メール】kubota.hironobu@gmail.comへ。
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