全国の中学・高等学校で、優れた生徒会活動を行う個人・団体を表彰する賞の個人の部で、穎明館(えいめいかん)中学高等学校(館町)3年の今池陸晃さんが大賞を受賞した。「青春を味わいたい」――と、今池さんが進めてきた母校改革が評価された格好だ。
この「日本生徒会大賞」は、生徒会活動の、内容やシステムを評価することでその意義の見直しなどを図る目的で2017年に始まった表彰制度で、教育に関わる研究者や学校職員らで構成される一般社団法人が公募から各賞を選出している。
今回(19年)の結果は先月末に発表され、今池さんは「驚いた。活動に関して第三者の意見を聞きたいと思っていたなかでの賞。評価されてうれしい」と受賞を喜んでいる。
体育祭で衝撃
今池さんが生徒会活動に関わり始めたのは中学3年の時。友人に誘われ、「何となく」始めたものだったが、生徒会役員として初めて迎えた、体育祭での出来事が活動へのめり込むきっかけとなった。
「その時の体育祭が雨によって途中で中止になったんですが、生徒会の先輩たちが注目を集めている選抜リレーだけ翌日にやろうって自主的に動き出したんです」
そして学校の許可を得て開催が決定し、いよいよスタートという時。気づくと、応援のために生徒たちがグラウンドに集まり出したのだという。
「先生たちに頼らず、自分たちの手でみんなを集めた。すごいなって。こんな『青春』を味わっていきたいと思ったんです」と照れ笑いをみせながら振り返る今池さん。
翌年、「自分も仲間たちと何かしたい」と生徒会会長へ立候補。高校1年生で当選すると学校改革に乗り出していったのだという。
説明会を担当
その一つが保護者向け学校説明会の改革だ。
それまで学校主体で実施していたものを、生徒会が中心となって開催したのだ。「生徒目線から見た穎明館を紹介し、少しでも入学希望者を増やしたかったんです」と、今池さんらが小学生の子どもをもつ保護者らの受験相談を受けた。
「最初話をもらった時は驚きましたが、しっかりとやってくれて助かりました」と入試広報を担当する同校の斉藤直道教諭はその取り組みを評価する。
また今池さんは、常々改革が必要と考えていた生徒会の引継ぎ問題にも着手。
代替わりするたびにそれまでの「情報」がスムーズに引き継がれてこなかったことから生徒会メンバーの数を増やし、学年のバランス、男女比を整えることで、偏りを無くし「遺産」が残りやすいようにしたのだという。「私は会長として、生徒会内の風通しが良くなるように、みんなの声を聴くことを大切にしてきました。自分の意見は最後にちょこっと言うぐらいでした」
その影響からか、この5月に今池さんの後を引き継いだ会長は同校では珍しい女子生徒に。「生徒会内が活性化してきたと感じています。失敗も多くあったと思いますが、本当に多くの改革を進めてくれました」と斎藤教諭は今池さんの功績をたたえている。
「青春、楽しめた」
2年間務めた生徒会長の役を退任した今、今池さんは「個人的にはみんなをまとめる力がついたと思う。青春を楽しめました」と笑顔で活動を振り返る。
そして、現在は進路を決めているところと言い、「海外の大学もいいな、やっぱり国内かなと毎日悩んでいます」と。将来は、社会問題を解決しながら利益も稼ぐ、社会起業家になるのが夢なのだという。
「新しいことを自分の手で生み出したいと考えています」
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>
八王子版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|