八王子芸者衆の1人で今月、置屋「ふみ乃家」を開く 若葉さん 八日町在住
若い子 育てたい
○…「舞妓さんみたいね」。肌の白さや口元から、友人にそう言われたのが最初のきっかけ。まだ小学生の頃だ。「なりたいな」と思ったのは中学の時。芸者についての本をよく読むようにもなり、「苦労しながらも自立をしている点に憧れました」。「復帰」して10年、自前(独立)の話を持ちかけられた。独り立ちしていく仲間を見て「大変そうだが輝いている」と目標のひとつにしていた。「でもゴールでなく、スタートなんだ、と今は感じています」。身震いをする思いだそう。
○…多摩市の出身。4人きょうだいの3女。学生時代は「親から留守電に数十件のメッセージ」が入るほど厳しい家庭環境だった。芸者をめざすことを話すと「とんでもない」と一蹴。それでも大学を辞めた後、HPで八王子花街を調べ、メールで思いを伝えた。二十歳でお座敷デビュー。真冬だったが「ドキドキしていて全く寒くなかった」ことをよく覚えている。
○…6年目、病気を機に花柳界を離れることに。「帯を締められなくなって。気持ちもゆるんでしまいましたね」。当時先輩からよく「辛抱してがんばんな」と励ましがあったが、「今思えば自分の努力が足りなかった」と振り返る。そんな経験から若い芸者衆には「簡単に辞めないでほしい」と強く願う。結婚し長女、長男を授かった。「辞めるときはこれが最後、と。でもお座敷が夢に出てきたりして…」。家事、子育てをこなしながら復帰した。
○…実は、親には内緒で始めていた。3年目にあったイベントでわかってしまった。「そこで諦めたみたいですよ」。今回の門出については「良かったね」と喜んでくれたそう。「温かな置屋にしたい。自分1人で芸者を続けていても30年後になったらどうでしょう。若い子を育てていかないと」。笑顔に決意がにじむ。
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