八木町在住の元雑誌編集者、岩崎博さんが160年前に作られた八王子千人同心(治安維持の武士団)の「番組合之縮図」を手書きで復元させ、八日町の施設に展示している。印刷業で培った表現力による出来の良さに加え、参加型の企画も盛り込むなどし「面白い」と評価されている。
子孫岩崎さん 20日まで展示
この縮図は1854年に千人同心の組頭、二宮光燐(こうりん)が作成したとされている。資料によると、縮図には千人町の組屋敷に居住していた人以外の805人の名前が記載。連絡網を明確にする目的もあったという。
岩崎さんは数年前、上野町の八王子市郷土資料館を訪れた際、たまたまこの縮図を見つけ、「面白そう」と興味を持った。岩崎さん自身が同心の子孫で子どもの頃両親から、かつて活躍した「ご先祖様」の話をよく聞かされたことを思い出した。
一方、5年ほど前、「千人同心の本拠地」とも言える千人町で仲間とギャラリーを運営したことがあった。そこで発表するものとして岩崎さんは、縮図の復元を考えた。
最初はコピーを貼ろうと思ったが、かつてガリ版(謄写版)印刷業を営んでいたことで培った技術を活かすことに。3mm角の文字を書いていた経験もあるほど「細かい作業」は得意としており、およそ一カ月をかけ、90cm×74cmの紙に製図ペンで全てを書き写した。
探してシール
復元した縮図はこれまで2回、発表の機会があった。それを見た専門家から「寄贈をしてほしい」と頼まれたほどの出来栄えだ。「となりの日野市は新撰組をまちおこしにつなげている。八王子も千人同心で盛り上げることができれば」。そんな思いで今回7月末から3度目の展示を実施。早速訪れた人からは「素朴でとても親しみやすい(文字)」との感想が聞かれた。
会場は甲州街道沿いのキッキプラス内。期間は20日(火)まで。土日と9日(土)から18日(日)までは休業となるが、八王子まつり期間の3日(土)、4日(日)は見ることができる。
なお縮図はビニールの上からシールを貼れるようになっており岩崎さんは「自分の祖先の家を見つけてもらっています。ゲーム感覚で楽しんでもらえたら」と話した。
「大きくありがたい」
このような取り組みに対し同心の子孫らが所属する市民グループ「旧交会」の粟澤裕会長は「関心を持ってもらえそうで面白い」とし、「復元はこれまでもあります。元の縮図が小さいものなので、大きくしてもらえるのはとてもありがたい」と歓迎する。
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