高尾駅近くでトレイルランニング用具専門店を開いている小林大允さんらが高尾山を走るランナーに向けてマナー向上を呼びかけている。「ハイカーとトレイルランナーが共存し、誰もが気持ちよく登れる山にしたい」と小林さんは話している。
取り組みを始めたのは小林さんのほか、雑誌編集者の内坂庸夫さんと小林さん同様、都内でトレイルランニングのショップを開いている桑原慶さんの3人。
昨年3月、内坂さんが「高尾山をベースにトレイルランナーのマナー啓蒙を行いたい」と小林さんらに声をかけ、マナー啓蒙を行う「高尾トレイルマナー向上委員会」を結成。活動をスタートさせた。
ガイドを作成
まず取りかかったのが、ランナーに高尾山で守ってもらいたいルールを記したマナーガイドの作成。3人で議論を重ね、山では、「歩く人とすれ違う時は走ることをやめて歩きましょう」「動植物を傷つけてしまうので、トレイルの外に足を踏み入れないように」などのメッセージを記載し、完成したガイドを昨秋から高尾駅周辺などで配布し始めた。
また昨年11月には、活動を周知するためのイベントを高尾山で開催。ランナーを集め、ハイカーが体験する「後ろから走り抜けられる恐怖」を体感してもらう企画などを実施したのだという。
小林さんは「ガイドには、高尾山に人が集中し過ぎないように高尾近くの他のトレイルコースもいくつか掲載した」と話し、「人気スポットである高尾山でトレイルランのマナーを確立させ、全国のランナーらに広めていきたい」と意気込んでいる。
背景にトラブル増加
小林さんらの活動の背景にあるのが、歩行者とランナーとのトラブル増加だ。近年、ランニング人気の高まりと共に全国各所でみられるようになっている。
神奈川県鎌倉市では昨年、食べ歩きなど、公共の場で周囲の迷惑となる行為を慎むことを求める条例が施行されたが、その制定のきっかけとなったのは、ハイキング愛好団体のトレイルランナーへの指摘。
「トレイルランはハイカーと接触事故を起こす危険がある」として、鎌倉市内のハイキングコースでの団体走行などの禁止を求める陳情を出したことが発端だった。
昨年施行となった条例には、山道や混雑した場所で走りながら歩行者などを追い越したり、すれ違うことなどを迷惑行為として慎むこと、とされている。
また、トレイルランナーである小林さんも「ランナーの恐怖」を感じたことのある一人。都内有数のランニングスポットである皇居を走っている時に後ろから、速いスピードで走りぬくランナーを「怖い」と感じた経験があるのだという。
「高尾山は私の遊び場。鎌倉のように何らかの規制がかかることは避けたいんです」
来月、イベント
小林さんらは来月にも、2回目の周知イベントを開く。内容については小林さんの店「アンサーフォー」のSNSなどで発表する予定という。
八王子版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|