春休みの期間、学童保育所に入れなかった待機児童の居場所対策として、上野町の本立寺(ほんりゅうじ)が4月1日から子どもたちに客殿の一部を開放した。学校以外の地域施設で居場所を提供するのは市内で初めての試み。
学童入れなかった子に
普段は法事の控室などとして使われている客殿の2階を利用して行われた。八王子市社会福祉協議会が委託を受けた事業。期間中は学童保育所支援員有資格者らが見守った。
初日となった1日は、4人の小学新3年生が用意されたブロックや折り紙で遊んで過ごした。「(お寺は)普段とちょっと違うけど、こういう場所もいいかも」と子どもたち。「雰囲気がすごくいいですね。子どもの声が聞こえると明るくさせる効果がある」と本立寺の及川一晋住職も笑顔を浮かべた。
「元々、寺は地域に開かれた場」と及川さんは今回の事業を引き受けた動機を話す。寺に子どもが来ることに関しては「もし、障子が破られたらまた貼ればいい。壁を汚されても直せばいい」と寛容で「例えば掛け軸など、何か1つでもお寺のことに興味を持ってもらえれば」と彼らの学びに期待する。
子ども教室も休み
この事業への登録児童数は小学2年と3年の13人。市担当者は「今日来ている子は全員、昨日まで2年生だったので学童保育に通っていました。学年が上がったことで学童に入れず待機児童になった子たちです」と説明する。
保護者が勤めに出ているなどの理由で放課後に子どもを預かるのが学童保育所。そこに入れずに待機児童となった子どもたちに居場所を提供しているのが放課後子ども教室だ。だが、春休みの期間中は、学童保育所は実施されているものの、多くの放課後子ども教室は休みとなる。学年が上がることで「入所承認基準」に応じた優先度が下がり、学童に入れず、かつ春休み中で放課後子ども教室は実施されていないため、今回の事業を行うことになった。
市内の待機児童は昨年度で215人。今年度は集計中だが、上回る見込み。今回の事業で対象となった同寺に隣接する市立第三小学校(寺町)の寺町学童保育所は昨年度31人で市内最多だったという。市の担当者によると「これまでは学校の中で適する場所を探していた。今回、地域の方々の協力でお寺という地域資源に気づくことができた。ほかにも町内会館など利用できる場所があるかもしれない。待機児童解消のために、地域資源の活用を増やしたい」と話す。
地域のための寺
及川さんは同寺で江戸時代に寺子屋をしていたかどうかの記録は不明としながらも「先々代の住職、今から30年くらい前、放課後に子どもたちが集まって遊べるような小屋もあったそうです」と説明する。明治期には図書館や私立八王子女学校が敷地内にあったという。「お寺は、昔から弱者のために心の安全などを提供する場所でした。地域コミュニティに協力すべき存在です」と話す。
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