先月亡くなった、コメディアンの志村けんさんの先祖が江戸時代、現在の八王子地域などを守った武士集団「八王子千人同心」のひとりであった可能性があるという。千人同心について詳しい中野山王在住の郷土史家、野嶋和之さんは「裏づけがないものの、可能性がなくもない。そうであったら面白い話だね」と話している。
志村さんは1970年代以降に一世を風靡したTV番組「8時だョ!全員集合」などで活躍した音楽バンド、ザ・ドリフターズのメンバーのひとりで、「全員集合」終了後も人気番組の「志村けんのバカ殿様」などの看板番組をもち、お笑い界の大御所としてお茶の間に笑いを届けてきた。しかし先月、新型コロナウイルスに感染したことが報じられると闘病空しく29日に死去した。
野嶋さんによると、千人同心のなかには複数人、志村姓がいるのだと言い、元々は、甲斐国(現在の山梨県)などを治めていた武田家の家臣だったものが占めているのだという。「武田家が織田信長に滅ぼされ、その後、甲斐国を治めた徳川家康についた武士たちが家康の関東進出に伴い現在の八王子の地にやってきたんです」と野嶋さん。そして、それらの武士たちが千人同心として現在の八王子地域の治安維持にあたったのだという。千人同心のなかにはそれぞれ100人程度の同心を率いた、千人頭と呼ばれる10人のリーダーがいたとされるが、そのひとり、志村貞盈(さだみつ)が志村けんさんの先祖ではないかとの声もあるのだという。
そんな志村さん祖先の千人同心説を歓迎する一人が八王子出身で現在、神奈川県葉山町などでハウスクリーニング業にあたる志村さんと同姓同名の志村健さんだ。元々、志村さんのファンという健さんは同姓同名であることに加え、以前、偶然にも都内飲食店で志村さんを見かけたことからより親近感を覚えたのだという。「亡くなられたのは本当に残念。でも出身地である八王子にゆかりがあるのであれば嬉しいこと」と健さん。自身も数年前に自分の祖先について調べたことがあるのだと言い、「私の祖先は現在の山梨県韮崎市辺りに住んでいたようなんです。うちも千人同心の家系なんですかね」と笑う。また、千人同心の集会場になっていたという千人町・宗格院の浦野信幸住職は「現在も元八王子の方には志村姓の方が多くいる。縁があるのは良いね」と話している。