新型コロナウイルス感染症の拡大により全国的に衛生用品の不足が伝えられるなか、市内企業が海外から独自に調達した不織布マスク、備蓄していたアルコール消毒液を八王子市へ寄付した。それぞれ市内の医療機関や介護施設などに配布される。石森孝志市長は「ひっ迫する状況において大変有難い」と感謝した。
3万枚、50リットル
マスクは3万枚が環境調査を専門とする、散田町の(株)環境管理センターから、消毒液は50リットルが省エネ機器などを製造する、千人町のミライラボ(株)(MIRAI─LABO)からそれぞれ寄付された。
環境管理センターは1月、中国で感染症が広まっていくなか、「役に立てれば」と現地の取引会社へマスク数千枚を送った。その後、日本でも状況が悪化しマスク不足の状態になっていくと、今度はその企業が「恩返し」とマスクを調達してくれた。ある工場の製造ラインを確保し、作ったものだそう。
同社は3月20日頃から1万枚、5万枚、30万枚と3回にわたりマスクを直接買い付けた。水落憲吾社長によると「ただ、最初の頃は品質が安定していなかった。ようやく使えるものができた」そうで、今回その一部を市へ寄付することに。「中国の仲間が奔走してくれた。少しでも地域に貢献できれば」と述べた。
ミライラボは昨年末、取引のある中国の法人から新型コロナウイルスが現地で広まりつつある知らせを受け、備えとしてアルコール消毒液1トンを注文した。
国内でも感染が拡大しつつあった2月末、商品が届き社内や社員の自宅用、あるいは製品の消毒にと使用し始めた。
平塚利男社長がその取り組みを自身のSNSで紹介したところ、知人が「余裕があるなら困っている人へ譲ったらどうか」と呼びかけた。平塚社長は「お役に立てるなら」と応じ4月4日、市役所を訪れ寄付をした。
優先度高い所へ
マスク、消毒液とも街中の薬局やドラッグストアでは品切れ状態で、市民が手に入れにくい状況であるのと同様、市でも「不足しているのは事実」(担当者)で「購入できる機会があれば購入したいし、寄付していただけるのであればありがたくいただく。感染症の予防対応として活用したい」としている。
それぞれより優先度の高い医療機関や介護施設などに配布される。