八王子中屋ボクシングジム(南町)が横浜のジムと共催で8月に無観客を想定に試合を行い、動画サイトでその様子を公開する。チケット収入はなく、開催費用は支援金などで賄う。しばらくは観客を入れての試合は難しいと考えられるなか、関係者は「新しいビジネスモデルとしてうまくいけば」と期待を寄せる。
チケット収入ゼロ
「エーサインボクシング」という興行で、8月31日に新宿で行われる。無観客を前提とし、ユーチューブで無料のライブ配信を行う。中屋ジムと横浜光ジム(横浜市)の共催で、プロモーターは中屋ジムの会長中屋一生さん(41)が務める。
6回戦4試合、8回戦1試合を予定。
通常、ボクシングの試合の開催費用はテレビ放映があれば放映権、スポンサー料、そしてチケット代でねん出される。それでも「持ち出し」になることは少なくないそうで、チケット代を見込めない無観客で試合を行うことは難しいと考えられている。「仮に観客を入れても、しばらくは感染防止の観点から目一杯集めることはできない。いずれにせよ従来の形では困難。このままではボクシングの試合がなくなってしまうかもしれない」(中屋さん)。そんな危機感から、この試合は新しい収益モデルを試す挑戦でもある。
スポンサー料のほかは、オンラインでの資金調達と動画配信時の「投げ銭」など支援金で賄う。選手個人への支援も募る予定だ。日本プロボクシング協会事務局長の新田渉世さん(川崎新田ボクシングジム会長)は「うまくビジネスモデルとして確立できれば」と期待を寄せている。
売りはストーリー
中屋さんは「これまでは誰と誰が対戦するという『マッチメイク』がボクシングでは一番の『売り』だった。この試合では選手のストーリーが見どころになる」と話す。試合当日に向けて選手1人ひとりに焦点をあて「なぜボクシングを続けるのか」を追う動画を順次配信する。中屋さんによると「ファイトマネーで暮らせる選手はほとんどいない」そうで多くが仕事をしたりと「別の生活」を持ちながらボクシングを続けている。「その姿そのものを知ってもらいたい」。それぞれの選手の「思い」がどんな結末を迎えるのかは、当日の試合で目にすることができる。
声援なし「気にしない」
試合に出場するひとり、中屋ジムの谷口彪賀(ひょうが)選手(21)は、新型コロナウイルスの影響で海外も含めて3回試合が中止になった。今回の無観客での開催は当然ファンからの声援もないが「特に気にしない」とあくまで試合に集中する姿勢をみせ、「ようやく相手が決まって嬉しい。モチベーションが違ってきた。新人王(2019年)としての意地を見せたい」と話した。
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