2009年に肝臓がんを患いその後11回の再発、合計46回の入退院をした初沢町在住の松崎匡さん(51/通称まっちゃき)がこのほど初めてCDを発表した。松崎さんは高校時代から音楽が好きで、がん患者となってからは「生きがい」として音楽イベントを開催してきた。その縁で知り合ったミュージシャンと今回3曲を制作した。人前で歌うことは初めての経験だったそうだが「新しいチャレンジ。一歩踏み出すことができれば前向きなれる」と同じような立場の人を勇気づける思いで挑戦した、と話す。
「凹んでいる人励ましたい」忌野さん系統ロック
CDは3曲入りで、ロック歌手の忌野清志郎さんとバンドを組んだ実績があるギタリストの山川のりをさんらがプロデュース。松崎さんは作詞作曲とヴォーカルを担当。ギター、ベース、ドラム編成によるロックンロールに仕上がっている。
松崎さんは43歳のとき、医師から「余命半年」の宣告を受けた。13以下が正常値という腫瘍マーカーの数値が2年前、3000まで上昇。さらに昨年5月は5万2000にまで上がった。これまで何度も再発し治療を続けてきたが「いつまで持つのか…。何か生きてきた証を残したい」と思い立ち、昨年から曲作りを始めた。
イベントでは検診訴え
一方、2016年に立ち上げた音楽イベント「ドヤフェス」は順調で、都内だけでなく大阪や長野からも呼ばれて開催するようになった。イベントは「音楽を通じてがん患者・経験者と、そうでない人が同じ時間を共有できる場を作ろう」との思いでスタートした。司会をする松崎さんはこの場で「これからがんになるかもしれない人」へ、検診の大切さを訴えることもしている。
イベントには毎回山川さんが出演する。松崎さんが学生の頃に憧れた忌野さんとのつながりで「人生を変えてくれた存在」として出演交渉をして以来、2人は交流を続けている。
昨年6月、松崎さんが曲作りをしていると知った山川さんは突如、松崎さんの自宅を訪れた。「指導が必要」とプロの視点でアドバイスを送った。松崎さんは忌野さんと同じ都立日野高等学校(日野市)の出身で、同じがん患者(忌野さんは09年、がん性リンパ管症で死去)であることから、山川さんは「キヨシローを継ぐ者」とし「(彼のように)もっと詞にこだわらなきゃ。もっとハチャメチャに」とも伝えたそう。
新型コロナウイルスの影響で予定していたイベントは全て中止。収入源である福祉関係での講師の仕事も6月からストップした。落ち込む日が増えたがCDの製作でこの間、モチベーションを保つことができた。発売したCDは松崎さんの予想以上に売れ行き好調で、500枚を用意したがすでに半分以上が購入されたそう。「同じように病気で凹んでいる人に伝えたい。一歩踏み出せれば、前向きに生きることができるものです」
遺言「その2」も
CDのタイトルは「遺言その1」。その1としたのは「その2、その3と続けていくことを思うだけで前に進めると考えました」。定価1500円。希望の人は「ドヤフェス」のホームページ(ドヤフェスで検索)で。
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