7月下旬に収録された際の様子。左から２人目がめぐみさん
八王子芸者衆が初めてインターネットで番組を配信する。配信は８月８日（土）午後６時から。およそ40分にわたり唄や踊り、そしてトークを披露する。コロナ禍でなかなか表舞台に立てない彼女たちが「今の姿を見てもらおう」と挑戦する。
８日午後６時 唄、踊り、トークも
番組名は「八王子芸者衆素顔の魅力 ココちゃんねる」。初回分は７月中旬、台町にあるスタジオオルウェイズで収録された。配信方法はユーチューブで、新設された「ココちゃんねる」で見ることができる。同スタジオのチャンネルにリンクが貼られている。
新型コロナウイルス感染症の影響で芸者衆は活動停止状態となっている。イベントの中止だけでなく、生業である「接待」の仕事もない状況が続く。そんな中、スタジオを運営する音響会社（株）オルウェイズが声をかけた。
自宅がお座敷
同社は４月からスタジオでのウェブ配信事業を展開している。一方、芸者衆の自主公演「八王子をどり」（来年５月に延期）や八王子まつり（今年は中止）の際の「宵の宮」で音響などの仕事を請け負っており、芸者衆との関わりは深い。彼女らの苦境を知った安藤弘之社長が５月、「なかなか先が見えず目標も持ちにくいはず。番組作りを通じて楽しんでもらえたら」とウェブ番組の製作を打診した。
「声をかけていただき、大変有難い思いでした。古い世界のものですが新しい形で紹介できれば」。芸者衆のめぐみさんは快諾した。番組が配信される「８月上旬」は通常なら八王子まつりがあり、例年その初日に開催される芸者衆による宵の宮には、地元の伝統文化をひと目見ようと多くの人が押しかける。今年は残念ながらその機会がないが、インターネットを通じた新しい形で、今の彼女たちの姿を家庭に居ながら見ることができる。
初回はめぐみさんをはじめ５人の芸者が登場。稽古や前回の八王子をどりの映像を見ながら「本音トーク」を展開するとともに「自宅でお座敷気分」を味わえる唄や踊りの披露もある。今後は22日（土）に第２回分、９月５日（土）に３回分を配信する予定。それぞれ異なる芸者が出演する。製作を手掛けた安藤さんは「ぜひお酒を飲みながら楽しんでください」と話した。
「できることを」
なお東京都のウェブによる芸術文化活動支援事業「アートにエールを！東京プロジェクト」にも八王子芸者衆が登場している。また芸者衆は今後、ネットショッピングでオリジナルキャラクター「ココちゃん」のグッズや浴衣生地で作ったマスクなどを買えるようにする考え。番組配信を含め、このようなインターネット利用の強化についてめぐみさんは「教えていただける方がいらして実現できました。柔軟な考えで、できることをやっていきたいと思っております」と話した。
『芸者衆に花束を。八王子花柳界、復活』口絵より。八王子まつり『宵宮の舞』の様子＝鈴木竜馬さん撮影
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