あさって15日で終戦から75年が経つ。市内の戦没者の遺族らで組織される「八王子市遺族会」では時間の流れとともに年々、当時のことを語れる人が減っている。それを補うべく、遺族以外の人も含めた青年部を再構築し、次世代へ戦争体験を継承していく活動を行っている。戦後の八王子の写真とともに紹介する。
700人が所属
「二度と遺族を出さない」ことを目的に1955年(昭和30)、結成された遺族会。会員数は約700人。活動のひとつとして小中学校での語り部事業があるが、「語り部で1927年(昭和2)生まれの方がいらっしゃいましたが、先日、お亡くなりになりました。他の方も足の具合が良くなかったりと、心配しています」と富田喜代志会長(台町在住)は打ち明ける。
富田さん自身は終戦当時4歳。上野町に生まれ、八王子空襲の際には祖母におぶわれて逃げたそうだが、それも祖母や母親に聞いた話。当時の明確な記憶はない。会には終戦の年に生まれた人もいる。「記憶がないと語りにくい面もある。ただ、母親から聞いた話で戦時中の小説を書いた例もある。伝えていくことはできるはず」
コロナ禍だが…
今年は新型コロナウイルスが猛威を振るっており様々なイベントが中止となっている。そんな中、8月15日に日本武道館で予定している全国戦没者追悼式は規模を縮小して開催するという。都遺族連合会の副会長でもある富田さんは式に参加するが「感染に関して不安は不安」と言う。ただ「コロナであろうと、何年経とうとも国を挙げて追悼をしてほしい。国のために尊い命を捧げたのだから」と継続を願っている。一方、コロナ禍だが会の語り部活動は例年並みで10校ほどから要望がきているという。
遺族会が始まった頃の会員は、戦没者の親や伴侶が中心だった。会は会員の高齢化を背景に1978年(昭和53)、戦没者の子を中心とした青年部を組織。その会員も年を重ね部は「青壮年部」を経て発展的に解消。当時青年部だった富田さんも現在は79歳だ。
次世代へ 新青年部
そこで次の世代に「跡を継いでほしい」と2017年、「新生」青年部を立ち上げた。趣旨に賛同すれば戦没者の遺族でない人も対象となる。現在約30人が所属する。馬場貴大(たかひろ)部長は「八王子空襲や湯の花トンネルはもとより、市内には戦争の跡が残されている。それがどういうものか知らなければそれで終わってしまう。まずは知ってもらえれば」と話す。
なお毎年4月に行っている市の「戦没者・戦災殉難者追悼式」は今回、コロナの影響で中止に。それでも会として「何とか年に1度は」と要望を出した結果、10月2日に富士森公園の八王子市慰霊塔で「戦没者・戦災殉難者を追悼する会」の開催が決まったそう。
「母に感謝の日」
父親が戦没してから母親に育てられた富田さんにとって終戦記念日は「母の苦労は計り知れない。母に感謝する日」でもあるという。「これ以上遺族を出さない。そのために活動を続けたい」
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