ピアニストで、モスクワ音楽院の留学経験を記した本を出版した 坂本 里沙子さん 子安町在住 26歳
ロシアに惚れ込み
○…「暗くて寒い」国。それが17歳のとき初めて訪れたロシアの第一印象だったが、現地のコンサートに「あたたかさ」を感じたという。娯楽の少ない環境だからこそ、音楽が「人々の生活になくてはならないもの」となっているのではないか―。そこで芸術を学ぼうと決めた。以来6年間、モスクワ音楽院に留学し、各地の演奏会にも出演した。
○…母の薦めで5歳からピアノを始めた。小学6年生のときに出会った師匠からロシア流の演奏法を習ったことでロシアに興味をもち、音楽高校を卒業後、留学。言葉は初心者レベル、当時はスマホも持っていなかったため、ちょっとした移動も不安であった。しかし、友人らとは楽器を介してコミュニケーションを取ることができたと振り返る。「会話はできずとも、音を聴くと心で通じ合えたと思う」
○…留学中、最も辛かったのは、故障で右手が使えなかった4カ月間。それまで練習漬けの日々だったため、初めは時間を持て余し、茫然としたという。進級試験にも出られないことを危惧したが、左手だけを使う作品を選んだ。普段より集中力を要する曲に苦戦したが、教諭からは「同情されるような弾き方をするな」と。20分間、左手のみで弾き終えて乗り越えたときの安堵感は今も鮮明だ。
○…作曲家では「ラフマニノフ」が好きだという。本人がロシアで見た景色、感じたことを想像しながら弾くため、その手記や日記を原文で読んだ。作家の交友関係まで調べていくと、小説家や画家とのつながりも見えてくるのだそう。留学を経て、「脈々と続いてきた歴史を背負っている」と考えるようになった。今後は演奏活動はもちろん日本でロシアの文化を広めたいとする。
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